妄想日記 

2002年02月19日(火) 8話放映前だから出来る捏造(バンビ)

「映画おもしろかったね〜」


昨日モー子に電話して取り付けたデートの約束。
急な誘いだったのにオーケーをもらって、今映画を見た。


女の子とデートしてる。しかも好きな子と。


オトコとして、こんなに嬉しいことはない・・・・・ハズだ。
映画もおもしろかったし、モー子も喜んでるから良かったし。
オレ的にもすっげ楽しいはずだ。
好きな子と過ごせて、喜んでもらえて。
楽しい。
楽しくなければいけない・・・・・のに。


何故か心が落ちつかない。
ドコか遠くへいってしまったような気分だった。
体と心が別々になってしまったようだ。


本当はずっと気づいてる。

心は今どこへ向いてるのか。どこに行ってしまってるのか。
何に、奪われてるのか。


気づいてるけど認めたくなかったから、考えないようにしてた。
嫉妬なんてカッコ悪いって思ってる。
だから、モー子のことでぶっさんにヤキモチやいたときだって表には決して出さなかった。
出したら、負けを認めたようで、嫌だったし。
カッコ悪い自分を見せるのが嫌だった。


だけど、今は心のコントロールがきかない。
もうずっと、昨日のことで頭がいっぱいだった。


「野球部の合宿の手伝いに来てる」

この頃マスターんとこに顔出さないアニに、またなんかあったのかと電話したら返ってきたのがこれだった。
前回(3話)の件があったから、またトラブルに巻き込まれたんじゃないかとか、前回ぶっさんに電話したから今回はオレから電話して、オレがなんとかしてやろうとか思ってたのに。
アニの答えはこんなだった。


「聞いてねえよ」
「言ってないっけ?あ、ぶっさんには言ったんだ」


まただ。
なんで、なんでもかんでもぶっさんに報告するわけ?
前回のことといい、今といい。
なんでオレには電話しないわけ?
昔から、出会ったときからそうだ。
なんかあるとぶっさんぶっさんって・・・・・
そりゃぶっさんはキャプテンだったし?
なんか変に落ちついたとこあるから頼りやすいってのはわかるけど。


だけど、オレだっているじゃんか。


オレだってピッチャーで、頼れるエースだぜ?
いざってときには必ずやる男って言われてたし。

「なあ、・・・」
「兄貴、監督呼んでる」

アニ、と続けようとしたのを遮るように聞こえてきた声。
誰よりも憎たらしい。
誰よりもそこにいてほしくない。
オレの脳裏にその人物が浮かび上がった。

「純もそこにいるのかよ!?」
「そりゃいるだろ、野球部の合宿だもん」

さらっと言われて、言葉がでなかった。
頭ではわかってんだよ。野球部の合宿だからってのが。
だけど、気持ちは理屈じゃない。

「アニ・・・」
「あ〜もう行くわ。じゃ〜な」


ガチャン

ツーツーツー


オレは、電子音を発する受話器をただ見つめていた。
そして考えたときにはすでに電話のダイアルを回していた。



とにかく一人でいるのが嫌だった。
それに、アニといるよりモー子といるほうがいいに決まってる。
だから、楽しいはずのデート。



「ねえ、つまんないなら帰ろうよ」
「はあ?何言ってんの」
「だってバンビさっきからタメイキばっかだし。気持ち入ってないし。」


だけど、好きなハズの子からこんなセリフを言われた。
オトコとして最悪だ。


「そんなことないって」
「嘘!あたしにはわかってるんだからね〜」
「違うって・・・・」
「それ以上言うとホントに嫌いになるよ?」


怒ったような顔を浮かべられて、何も言わずに黙った。
きっと何を言っても無駄だと思った。
モー子は気づいてる。
オレが、もうモー子のことを恋愛対象として見てないことを。
いや、もしかしたら最初から気づいてたのかもしれない。
オレが、誰を見てるのかを。


少し沈黙が続いたと思ったら、ふいにモー子が笑いながら言った。


「アニが帰ってくるまでつきあってあげるよ?」


その笑顔に少しドキっとした。
今の気持ちを自覚する前の俺だったらすっげドキドキしてたと思う。


だけど今は・・・・
その言葉が嬉しいと思うだけだった。






オレがここまで思ってるんだ。
周りだって気づいてるんだ。
いい加減気づいてもよくない?
なあ、アニ。


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薫 [MAIL]

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