2002年02月14日(木) |
ちょっとビターな唇泥棒 |
毎年毎年、この日は憂鬱だった。
別にチョコが貰えないとかじゃく(木更津のエースピッチャーだぜ?貰えないはずないじゃん)仲間内で数を競ってるからとかじゃない。 そんな理由じゃなくて、もっと切実な悩み。
高校んときからこの日は嫌ってほど貰える。 それは食べきれなくて困るけど、確かに嬉しかった。 嬉しいけれど・・・・・・ 1番欲しいヤツから貰えない。 毎年、毎年。 間違ってもアイツからは絶対貰えない。
片思いだからとか好かれてないとかそんなのもあるけど。 1番の理由は・・・・・・・
『オレもアイツも男だってことだよなあ。』
だから、例え両思いになったとしてもきっと貰えない。 オレだってアイツにチョコあげるなんて出来ない。 あの女の戦争真っ只中に入っていけるわけがない。
だけど、やっぱり欲しいと願ってしまう。 貰えないってわかってんのに、この日に逢いたいと思ってしまう。
「よ、バンビ」
いつもの場所にいくと相変わらずのいつものメンバーがいた。 オレに気づいたアニが寄ってくる。 それがいつもと違い上機嫌だったのが気になった。 この日に機嫌いいなんて、理由は一つしか思い当たらない。 チョコレート。 アニそこそこ貰ってたけど、こんなに上機嫌なのは大抵本命を貰ったときだった。 今年も、本命貰ったってこと・・・? アニに今好きな人はいないと思ってたけど、もしかしたらいたのかもしれない。 とっかえひっかえだったから気づかなかっただけなのか?
頭んなかグルグルしてきた。 思いきって聞こうかどうしようか。 だけど聞かないままだったらこのままグルグルしてそうだし。
「今日機嫌いいのな。なんで?」 「あ、わかるか〜?」
ぐふふとアニが満面の笑みをするのに、やっぱり聞かなきゃよかったと後悔した。 だけど聞いてしまったからアニは答えるんだろう。 聞きたくないのに・・・・このまま耳を塞いでしまおうかと思ったときに、聞こえた答え。
「パチンコで七万儲けてさ〜」 「・・・・・は?」
パチンコ・・・・・? パチンコで八万もうけて・・・・・ だから上機嫌で、笑顔?
「こんな日にパチンコだぜ?淋しいヤツだよな〜?」 「うっせーよ、マスター!・・・・で、景品もゲットしたからお裾分け」
そう言って、うっちーにポテチ、マスターとぶっさんには煙草を手渡していた。 そしてオレに手渡されたもの。 それは・・・・・
「チョコ?」
それはまぎれもなく、チョコレートだった。
「だって今日はバレンタインじゃん?」
だからってなんでオレだけ?とか色々聞きたいことはあったけど。 とにかく・・・・アニからチョコを貰った。 ラッピングもなにもないその辺に売られてるようなものだけど。 だけど・・・ずっと欲しかったもの。 それが、オレの手の中にある。
「なんだよ、別に欲しくないならいいんだぜ?」 「え!いるって!」
チョコを見たまま何も言わないオレにアニは欲しくないのかと勘違いしてチョコを取り上げ様としたのを慌ててしまう。
「ならいいけど、さ」 「つーか七万も儲けたんだからおごれってんだよなあ?」 「バッカ、これを元にもっと大きくしようとだなあ・・・」 「まだ懲りないのかオマエは!」
いつもの会話が聞こえてきた。 だけどオレは一人幸せを噛み締めていた。
☆おまけ 『バンビの顔見たか?』 『見た見た!すっげ嬉しそうだったよな!』 『なあ、なんでバンビにはチョコあげないといけなかったんだよ?』 『それは聞いちゃいけねえことなんだよ、なあぶっさん?』 『そうそう。とにかくあれでバンビはかなり上機嫌になったんだし』 『だからなんで上機嫌なわけ?』 『アニは知らなくていいの!』 『そのうちわかるからさ、な?』 『ああ、来月の14日辺りにわかるかもな?』 『はあ?わけわかんねえ・・・・』
アニから貰うならこうだろう!と思ってなんとなく書いてみたもの(爆)
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