2002年01月21日(月) |
東京大学物語前(バンビアニ) |
三年生になったということで、俺達は進路を決めなければいけなくなった。 けど、俺は大学生だしマスターは店持つとかいってるし。 うっちーはまあ相変わらずだけど。 問題はぶっさんとアニ。 この二人は就職組だから確実に今から動かないといけないってのに。
「なんでもいいしな〜」 「いざとなったらフリーターでもいいし」
担任の嘆く声をよそに、まるでやる気にない二人に呆れながら。 内心、ほっとしてた。 フリーターでもとかいってくるらいだ。少なくともここを出るつもりはないということで。 離れるこにならないと思って、安心した。 別に高校卒業しても仲良くしたいとかそんなこと思ってるわけじゃない。 ぶっさんとは気まずいからどっちかっていうと離れたほうがほっとする。 けど、アニとは別れたくないと思った。
いや、別に離れるのは嫌とかじゃなくて! アニは何しても長続きしないし。 禁煙するとかいっても出来ないし。 すぐトラブルし。 誰かがいないとてんでダメなヤツだから。 あえて俺がそばにいて見張ってようと、そう思っただけだ! だから、離れないことに安心した。 ただ、それだけだ。
「アニおそくね〜?」 いつものように野球をするために集まってたけど、アニの姿がなかった。 しばらくキャッチボールしたりしてたけど、現れる気配がなかった。 なんかまたトラブったんじゃないだろうなと心配したけど。 「また女のとこじゃね〜の?」 マスターの言葉に、胸のあたりがムカムカするのを感じた。 人が心配してやってんのに。 ムカムカして落ちつかなくて、その気持ちを無意識にボールにぶつけてたらしく、ぶっさんから抗議された。 それもこれもアニのせいだ。 ムカムカする・・・・・! 怒りがピークに達しようとしたとき、アニらしき姿が見えた。 だけど、咄嗟にアニだとはわからなかった。 アニのトレードマークとも言える金髪が、黒髪になっていたからだった。 「どーしたんだよ、その頭」 「ん〜?就職活動のため」 「就職活動!?」 心底驚いたマスターの声が響き渡る。 そりゃそうだ。 俺だって驚きのあまり声が出ないくらいだし。 つい最近まで「フリーターでいいや」とか言ってたヤツがいきなり髪染めて就活してるなんて聞いたら誰だってびびるだろうが。 「で、結果は?」 「バッチリ!即オッケー!」 コイツは昔からこうだ。 面接とかには必ず受かってた。 まあ、愛想がいいからなんだろうーけど、でも次から長続きしないからこうなってんだよな。 そのアニが、就職。 そんなもの好きはどこだよ。 「東京の○○ってとこ」 ・・・・・マジかよおい。 東京って、あの東京かよ!? こっから二時間弱はかかるとこに、わざわざ通うのかよ? 「やっとあの家から出られるぜー」 その言葉を聞いて、打ちのめされそうになった。 よほど嬉しいのか、すっげ笑顔で言われたけど俺にとってはメガトン級のパンチを貰ったような気分だった。 家を出るってことは、東京に住むってことで。 離れること間違いなしじゃねーかよ!? そんなの納得出来るわけない。 どうする・・・どうする・・・・・・・・・って、○○? ○○って確か、大学あったよなあ。
「・・・・・・」 「お〜い、バンビ?」 「わり、先帰る」 制止の声も聞かずに俺は速攻で家に帰った。
そして次の日。 職員質で呆気にとられるを担任をよそに、声高らかに宣言した。 「大学は○○に決めました」
別に、アニが東京いくからじゃなくて。 あの大学がいいかと思ったから決めたんだ。 決して、アニが一人暮しするからとか。 邪魔な純がいないからとか。 そーいうわけじゃない!!
・・・・・・ハズだ。
こうして、俺(達)の東京大学物語はスタートした。
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