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男はドロシーにカードを渡し家路についておりました。 「彼女、花探しに行ってしまうんだろうか?・・・いやいやたまご配達も大事な仕事だ。まず、たまごをどこで手に入れたらよいのか家に帰ってゆっくりカードの確認をしよう。」 とぼとぼと、もうそれは切なげな後姿です。ご近所の人が声をかけても生返事で本当につらいことがあったように見えました。 「フィオはいったいどうしたってぇんだろうねぇ? それはもうこの世の終わりみたいな顔で歩いていたよ。」 「ああ、俺が声をかけても振り向きもせずいっちまった。」 「これはきっとあれじゃな。」村一番の物知りといわれるおばあさんが耳障りな高い声で口をはさみました。 「盗まれたんじゃよ。大事なものをな・・フォフォフォ・・・」 「だいじなもの?」「盗まれた?」「なにを?」異口同音に発せられた質問に誇らしげな顔でおばあさんは目の前にいた男の胸に杖と当て言いました。 「ここじゃよ、ここ。あいつもようやっと大人の男になったということじゃ。」 もごもご更に何かいいつづけていましたが 村人はそれどころではありません。 「いやぁ、めでたいことだ。」「フィオには身寄りがいないから村で結婚式を取り仕切るってのはどうだろうねぇ?」などと本人の知らないところで話はすすんでしまっていました。
「ここだぁ、ドロシー」 「この家に住んでるのね?」 「ああそうさ。間違いないよ。おいらがここにたまご配達人の任命書届けたのさ。」 ドロシーと案山子と小人はフィオの家の前についておりました。
『童話で15題』をお借りしてきました
01:配達人 02:烏と案山子 03:王様 04:盗まれた人 05:屋根裏 06:三匹の猫 07:カード 08:小人 09:箱舟 10:三つの願い 11:クジラ 12:一輪の花 13:贈り物 14:人魚の唄 15:たまご
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