失せし希望
69244



 眼下

大きければ大きいほどその衝動は強くなって
何かを飲み込みたくなる
そのうち自らの強大さに惚れ込み
他のことは何一つ考えられなくなり
全てを自分の型にはめて物事を考える

盲目の人間 眼鏡無しでは生きられない


潮騒の音
何十もの波の層がコンクリートに打ち付けられて
徐々に侵食しながら

それに光が当たり乱反射
行き場の無い光 と思った

橋を渡るとより一層 風が強くなった
潮は引いていて汚い川底を少しだけ伺わせる
夜の川は綺麗だった
疑いようが無いから

仄かに海の匂いが 土の匂いに混じっていた
春 ひとつ手前の海を思い出した


時間が経てば余裕は泡のようになくなって
待っていたかのようにいつもの重みが肩に乗る

手綱を見失ったみたいだ

時間の使い方も忘れた
空の青さも曇り空の包み込む匂いも忘れた

新しいものは全てを否定しそうな勢いで
今まで築き上げた小さな小さな牙城は
音も立てないで 塵になる


遠く空を仰ぐ余裕も無く



半狂乱になる





嫌ならどーするよ

2002年04月16日(火)
初日 最新 目次 MAIL


My追加