ゆうべのことば

2017年04月16日(日) 桃猫・改

痩せた月が笑えば
くしゃみ
桃色をした猫が
ぴやぴやと鼻を疼かせた

思い切り伸びをして
段 段段と 段
落ち続けるトンネルで
音も色も感情も
ひとり分遅れて降ってくる

罪悪感が涙を流し
携帯電話を握りしめても
コンセントは届かない
名前を読んだら
束の間のおはよう

「私が戻れたらならきっと
私の言葉を聞きたがるから
私を覚えていて欲しいんだ」

口にした端から
言葉が薄皮のように剥がれ
他人事になっていく
伸ばした指より遠いところで
浮かれたように漂って


 < 過去  INDEX  未来 >


小石ゆうべ [MAIL]

My追加