ゆうべのことば

2017年04月10日(月) 【未】さくら

昔から春の種を巻く人は後を絶たず
細かな根を張り土壌と一体となっているから
私の取り分などはもう残っていないのだ

桜の話をしたく思えど
種まく人は後を絶たず
微細な根が隙間に這い入り
土壌を抱いているために
例え枝葉を引き抜いたとて
足の下にはみっしりと
桜の根がはびこっている

掘り返された剥げ山に
吹きさらしの砂丘に
果ての見えない湖に
ひび割れたアスファルトに
滑りやすい喫茶店の床に
桜の根ははびこっている


 < 過去  INDEX  未来 >


小石ゆうべ [MAIL]

My追加