おちょこの日記
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2005年08月10日(水) 家へ帰ろう


父の呼吸が、心臓が止まった。
延命処置はしないと決めていた。
医者が静かに時刻と死亡を確認した。

心電図のモニターは0
ドラマのようにピーっという音はせず
ただまっすぐな線と0の文字が画面映っていただけ。
研修医がパチリと電源を切った。


最愛の父が逝ってしまった。
なんてあっけないんだろう。
ただ泣く事しか出来なかった。
吐くように泣いた。


看護婦が父を拭いてくれた。
アタシも泣きながら拭いた。
穏やかな顔だった。寝ているようだった。
父は浴衣のような病院の服を着ていたのでパジャマに着替えさせるという。
父のお気に入りのパジャマ。
アタシが4月の誕生日にプレゼントしたものだった。

もう苦しくないんだ、もう痛くない。
そう思っても死んでほしくなかった。
死んだなんて思いたくなかった。

父の身体はまだ温かいのに。
もう、命が消えてしまったなんて。

病院の裏口から葬儀屋の車で父を家に連れ帰ることになった。
雨はまだ激しく降っていた。
看護婦、研修医、医者が並んで見送ってくれた。

車椅子でもいい、裏口でもいいから
生きて帰りたかったね、お父さん。
もう一度ただいまって生きて帰ってきてほしかったよ。


お父さん、家へ帰ろう。
はやくみんなで家へ帰ろう。


泣いても泣いても涙は止まらない。


雨なんていらない、
雷なんていらない、
もう、やめて。

この夜が、この嵐が父を奪っていった気がした。












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