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2006年02月26日(日) 『アンナ・カレーニナ』東京楽

『アンナ・カレーニナ』東京楽。(楽日だ〜♪と思っていたら、
挨拶で役者さんたちが「中日気分」と言いまくったので、
まだまだ続くんだと、思わされて、ちょっと言い直し)
マチネ観た後は、戸井さんパーティーに行ってきましたが、
とりあえずは、こちらの方だけ感想をば。


『アンナ・カレーニナ』東京楽

<場所>ル・テアトル銀座9列12番
<時間>1幕13:00〜14:30、2幕14:50〜16:05
<演出>鈴木裕美
<出演>
 アンナ・カレーニナ:一路真輝
 アレクシス・ヴロンスキー伯爵:井上芳雄
 コンスタンティン・レイヴィン:葛山信吾
 スティーバ(アンナの兄):小市慢太郎
 キティ・アレクサンドロヴィーナ(アンナの義理の妹):新谷真弓
 プリンセス・ベッティ(ヴロンスキーの従妹):春風ひとみ
 ニコライ・カレーニン(アンナの夫):山路和弘
 乾あきお、佐久間義也、中山昇、縄田晋、ひのあらた、伽藍琳、
 高畠ゆうみ、中村友里子、福麻むつ美、BELLE、ももさわゆうこ


東京楽にして、観劇2回目。よくなってた〜!
初日はどうしてくれようかと思った一路さんと井上君がよくなって、
話の芯が通った。1幕最後、家を抜け出したアンナとヴロンスキーの
初めての逢瀬とかも、かったるいなぁと思った初日はどこへやら、
すっかり「伯爵、うっとり〜(*^^*)」モードで見惚れられたし、
同じく初日は「あー、分かったから早く次へ行こう」とまで思った
アンナが飛び込む寸前のロングソロも、あまり他所に気を取られず
切実さを感じながら観られた。

やっぱり、共感できるかどうかはともかく、
この2人がきちんと存在してこその舞台だよなぁ、これは。
伯爵によろめく気持ちが分からないと、話にならないんですよね。
その点、今日のヴロンスキー伯爵は、若さと強引さが煌めいて魅力的で、
もう、彼の姿が見えるたび、近づくたび、ときめいちゃう自分がいて。
こうでなきゃ〜(*^^*)と思っていましたわ。さいとうちほな気分。
嵐のように私をさらって〜♪ってか(笑)

おかげで、初日にはただひたすら「こっちの方が百万倍
いい男じゃん・・・」と感じてしまった山路カレーニンに対しても、
嫌悪を感じるアンナが、感覚的に理解できたりする瞬間も。
アレクシスの率直さや情熱に惹かれていってしまうと、その分、
カレーニンの、分かりにくく不器用な愛情なんか見えなくなるよね。
そして、何を言われても全てが苛立つ。近くにいるだけで腹が立つ。
自分への愛情なんて、これっぽっちも信じられなくなってしまう。
ついさっきまで、アレクシスに抱きしめられていたその場所に、
カレーニンが触れようとしたら、拒否反応で払いのけてしまったり。

でもやっぱり観客としての私は、
カレーニンの小さな優しさの表現に一つ一つ切なくなったりもする。
旅行から帰って「今日ぐらいは2人で食事したい」と言うアンナに、
それは無理だと応えておきながらも、何か不安げな彼女に対して、
「よく帰った」と付け加える姿に、ものすごい努力を感じるし、
2幕になると、セリョージャとマメに接するようになったおかげか、
不器用なりに少しずつ感情の出し方を覚えたような表情や、
「夜だけ思い出す・・・」と歌う姿に、胸が痛くなったりも。

彼らの話がしっかり芯が通ったから余計に、
初日から好きだったレイヴィンとキティの話にも泣けました。
社交嫌いのレイヴィンも、少しずつ前向きに変わっていくし、
キティの中には新しい命が宿っている。そんな、たくましく
生きる2人がたたずむ同じ時間に、アンナは既にこの世になく、
ヴロンスキーは、ただ1人に見送られて死にに行こうとしている。
同じように自分に正直になっていただけのはずだったのに、
どうしてこうも違ったんだろうと思うと、更に悲しみも増して。

アンナたちに関しては、本当にタイミングさえ悪くなかったら、
こんな悲劇にはなっていなかったろうと思ってしまうだけに、
カーテンコールで笑顔のカレーニン一家で、ホッとさせられます。
アンナのセリョージャへの執着には、かつての、愛を信じていた
平和な生活の象徴としての思いが非常に強く感じられていたし、
カレーニンも「戻るなら受け入れる」なんて、最大級の思い。
セリョージャはもちろん、母が帰ってくるなら嬉しいだろうし。
ヴロンスキーだけが悪いわけではなく、アンナの中にもともと、
何か違和感があったからこそ起きた事件だったとは思うけれど、
もう少しずつでも何か違っていたら、こうでいられただろう姿が
カーテンコールで描かれているようで、嬉しくも悲しくもあり。
大泣きした後、泣き笑いしながら、最後まで見終えました。
満足。さらに成長した舞台を観られる人、羨ましいなあ。



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