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2006年01月13日(金) 『信長』

新之助君襲名後初の外部出演とあったし、
JRのホームにまででっかいポスター出ていて
少し惹かれたけれど、日本史分からないのでパス。
どうしても観たい人もいないのに¥12,600払って
「話が分からなかった」では、あまり洒落にならないし。
・・・と思っていたら、友人がチケット取ったのに
行かれなくなった。しかも1等席割引で¥3,900-だとか。
なら、行こうじゃないの!と名乗りを上げてみました。
相変わらず、最後までネタバレつき感想です。


『信長』

<場所>新橋演舞場13列36番
<時間>1幕:18:30〜19:30、2幕:20:00〜21:40
<出演>織田信長:市川海老蔵、
 明智光秀:田辺誠一、濃姫:純名りさ、
 木下藤吉郎:甲本雅裕、お市:小田茜 ほか
<作>齋藤雅文、<演出>西川信廣

それでも怯える私に「信長と光秀の話だから、
きっと分かるよ」と、友人が教えてくれました。
でも観終えた印象は「信長とお濃の話」だったかと。
まず最初に印象的なのは、斎藤道三との対面。
うつけのいでたちで美濃入りしておきながら、
対面には正装で現れ、堂々としたふるまいの信長を
気に入ったお濃は、「この男は危険だ」と察して
殺そうとする父を止め、彼に嫁入りすると宣言する。
「私も大うつけ」と言う彼女のかっこいいこと!

その時にチラリと光秀もいるんですが、
何というか、びっくりするほど高い声が違和感で・・。
田辺さんって、こんな発声をする方でしたっけ?
頭先行型で猿と反りが合わないという演技はいいのに
遠くから観ている分、声の違和感の方が強く感じられ、
どうしても最後まで、奇矯な印象というか、人々から
浮いている感じが消えなかったのが残念です。

いろいろ彼はちゃんと悩んでいるんですよね。
一応は、延暦寺焼き討ちで苦悩する場面もあったし、
「戦のない世界にしたい」という願いとは裏腹に、
信長が「日本を統一したら次は世界だ、ローマだ!」と
焦り意気込んだり、天皇を眼下に見下ろす位置に置いて、
わが身が神にまでなろうとする姿に悩んだりもする。
が、焼き討ちは本当にサラッと流して描かれただけだし、
後半の悩みにしても、ほとんどお濃の悩みという感じで、
彼女を抱きしめちゃってる光秀は、横恋慕?と感じたり。

本能寺にしても、お濃が訪ねてきて久方ぶりに話をし、
「あら?もしや少しはお濃の気持ちも通じたかも?」
なんて思ったところに敵襲。雑兵を共に蹴散らした直後、
お濃が矢に射られ、信長の腕の中でお亡くなりになり、
そして信長最後の戦い。また雑兵ワラワラ相手に。
炎の中に消え、雑兵たちが追っていけないよ〜と
ウロウロする時点になっても、光秀、影も形もなし。
そのまま、最初の若き日の信長1人の場面に戻って
終わってしまうので、光秀の謀反は旗印だけで終わり。
やっぱり信長とお濃の話で、光秀脇役だよなぁ。

あと2人、秀吉とお市。秀吉は結構好きでした。
でも脚本的に脇役扱いになってたかなという印象。
お市や茶々たちを救い出して、プロポーズする場面とかも
あったんだけど、延暦寺焼き討ち並に「一応」の印象だし、
更にはお市が、誰に対しても同じようなテンションだから、
どうも盛り上がらなくって。兄に対する恋慕(よね?)と、
秀吉に対する気の強さと、同じ演技じゃダメだろうになぁ。
ちょっと、秀吉役は貧乏くじ引いたかなという感じで。

でも信長とお濃の話として全く違和感なかったし、
信長はかっこよく色っぽく、お濃はきれいで凛々しく賢く、
双方とも規格外のうつけっぽくて良かったと思ったな。
海老様、最初のうちは何かイマイチかも?と思ったけれど、
殺陣が始まると、かっこよさも色気も200倍ぐらいになるし。
特に、戦いに疲れてきた時の、鎧が重いと感じてきたのかと
思わせるような「間」が色っぽい。

本能寺でも、最初は槍で戦っているんだけど、
お濃が亡くなってからは、剣に持ち替えて、
鬼神のように人を斬っては、間、斬っては、間がある。
その疲れが切なくて、戦いっぷりの見事さが更に栄えて。
ただ一つ文句を言うなら、この時の真っ白の衣装が、
肉襦袢入れてるのかと思うほどデブく見えて泣いたこと。
でも、炎が似合っていたなあ・・・。良かった。

全体的には、まったりと暗転が長い演舞場テイストで、
しかも、暗転中に年号と場所を文字で表記するという、
大河ドラマ総集編紛いの手法で楽をした脚本だったけれど、
大風邪引いた後の体力落ちた状態にはピッタリだったようで
静かに盛り上がっては一休み、静かに美しさに魅せられては、
また一休み、という感じが、本当に観やすく良かったです。
元気な時なら「とろくさい芝居」と言ってたかもですが(笑)、
満足。満足度に比すると、とても安い舞台だったかもです。



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