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蜷川版『十二夜』(歌舞伎)
<時間> 序幕16:30〜18:04、2幕18:34〜19:20、3幕19:40〜21:00 <場所>歌舞伎座2階7列14番 <原作>W.シェイクスピア <訳>小田島雄志、<演出>蜷川幸雄 <出演> 尾上菊之助:斯波主膳之助(セバスチャン)、 獅子丸(シザーリオ)、琵琶姫(ヴァイオラ) 中村信二郎:大篠左大臣(オーシーノ公爵) 中村時蔵:織笛姫(オリヴィア) 尾上菊五郎:丸尾坊太夫(マルヴォーリオ)、捨助(フェステ) 市川亀治郎:麻阿まあ(マライア) 市川左團次:左大臣・洞院鐘道(サー・トービー・ベルチ) 市川團蔵:比叡庵五郎(織笛姫の家臣、フェービアン) 尾上松緑:安藤英竹(サー・アンドルー・エーギュチーク) 尾上松也:久利男(従者、キューリオ) 坂東秀調:幡太(従者、ヴァレンタイン) 坂東亀三郎:役人頭・嵯應覚兵衛 河原崎権十郎:海斗鳰兵衛(アントーニオ) 市川段四郎:舟長磯右衛門(船長)
えっと、蜷川さんの初歌舞伎なんですが。 私自身が歌舞伎慣れしてないので、従来の歌舞伎との 相違点みたいなものは、全くさっぱり分かりません。 ただ、「菊ちゃんの『十二夜』観ない?」と誘われて、 ちょっとそれは素敵かも〜♪とついていっただけで、 その点は、とてもとても満足して帰ってきました。 やっぱり似合うよ〜、菊ちゃんかっこいい〜(*^^*) 美人さんだし、眉目秀麗な若衆だし、目の保養。
彼も勿論ですが、とにかく「きれい」な舞台でした。 幕開き、蜷川お得意の鏡張り舞台。全面に映った 客席に、おお〜っ!と観客がどよめいたところで、 鏡の向こうにある桜と手前のクラヴィアが透けてきて、 洋装の子供たちが♪O come Emmanuelを歌い始める。 ハンサムな大篠左大臣と従者が花道を歩いて登場。 鏡のおかげで2階席からでも観えるのが嬉しい。 (ただ、曲と桜で、季節感を悩まされたのも確か。 そんなところで引っ掛かる必要はないのかな?)
続く嵐の場面では、まずは舳先に立つ凛々しい膳之助。 舳先の美青年というのは、それだけで見惚れるのに、 船長に「妹を頼む」と奥に消えたと思えばすぐさま、 早変わりして、なおやかな琵琶姫で現れる。 目的に沿って、冒頭からしっかり、菊ちゃん堪能(^^) 魅せてナンボ、楽しませてナンボのエンターテイメントだと 分かって作ってくれてるのかなという感じが嬉しい。
けれど、ちょっと困るのは、分かりやすさを 追求してくれたおかげか、ゲームなどにかぶること。 各々の部屋に入ると必ず、テーマ曲が流れたりすると、 『アンジェリーク』を思い出したり、「紀伊といえば鯨」の 単純なつながりには『遥か〜』シリーズを思い出したり。 サー・安藤の格好も、ゲームや漫画のなんちゃって平安。 でもシェイクスピアも歌舞伎もゲームも、時代時代の エンターテイメントだから、そこを追求すると似るのかな、 とか考え始めると今度は、♪「ちょっぴり おつむに訴えて、 ちょっぴりハートにアピール」なんかが頭の中で流れ出したり。 いや、結構まじめに観てるんですけどね。
役者さんは、目的その2だった菊五郎さんが、 台詞を結構かみかみだったのが、気になりました。 稽古10日で幕を開けたんじゃ仕方ないのかもだけど、 せめて阿呆役の時は、滑らかにしゃべってほしいなと。 でも、チケットをお願いした時点ではオーシーノ役での 色気を期待していたので、役柄としては残念だったのに、 間を取る巧さには、さすが!と思わされてしまったなぁ。 笑いでも何でも、魅せてくれるから大好き。
他にお気に入りだったのは、麻阿まあ。 安藤と洞院とつるんでいて、いつも目が引かれました。 動きが分かりやすくて、かわいらしかったな〜。 織笛姫は、雰囲気可愛いけど、声がイマイチ。 オフで声だけ聞こえてから出てくることが多いせいか、 凛々しくてきれいなんだけど、もう一歩だったかな。
でも大きな文句といえば、最後の再会シーンだけで、 基本はとてもとても楽しませてもらった舞台でした。 最後はどうするんだろうとは思っていたけれど、でも、 せめて、もう少し似ている人はいなかったのかなぁ? あんなところで笑いが起きるって、どうなのよ(苦笑)
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