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ミニイベント付きの日とあって、客席はほぼ満員。 イベントは40分ぐらいかな?主にQ&Aと写真撮影。 『蜘蛛の巣』の時のように舞台上で撮影できるのかと 楽しみにしていたのですが、今回は無理でした。
マイクのコードは長いものを使っていたようで、 割と後ろの席の人の所までも戸井さん自身が マイクを持って走り回る手作り感が、らしかったかな。 挙手形式だったためか、あまり質問は出なくって、 「飾られた絵の1枚だけ大和田さん作。どれ?」とか、 「WEでは、エンディングは誰にも話さないで挨拶を トロッターがやっていたけれど、やりたくないですか?」 とか、たわいもない話がほとんどだったと思います。 「先に書いてもらえばよかったね」とは戸井さんは弁。
『マウストラップ』
<場所>三百人劇場5列15番(センター) <演出>大和田伸也 <出演> トロッター刑事:戸井勝海 ジャイルズ・ロールストン:内海光司 モリー・ロールストン:芳本美代子 ボイル夫人:淡路恵子、ミス・ケースウェル:前田真里衣 メトカーフ少佐:大門正明、パラビチーニ:田村連 クリストファ・レン:岩田翼
異様に寒いと聞いていた劇場も、上着を羽織れば そこまでではなく、ちょっとホッとしながら観始めて。 客が入ると舞台上も乗るのか、少しテンポアップめ、 みっちょん@モリーの明るさが、いい感じで映える。 前回は絶望的に感じたミス・ケースウェルの台詞も、 サラッと聞き流して諦めがつけられる程度に感じる。 スムーズに進んでいく舞台が、ちょっと嬉しい。
でも戸井さん個人は、ちょっと重めになっていたかも。 多分、シリアスの方が演じやすいんだろうけれど、 初演の演技に寄ってしまった印象があって少し残念。 いや、そういう演技もありなんだろうとは思うし、 大和田演出自体が、粋さや お洒落さはほぼ排除して、 ムダに真面目にミステリを作ろうとしている印象なので、 演出的にはその方が正しいのかもしれないけれど。 せっかくモリーが、明るくチャーミングになったのに、 トロッターがテンポに乗り切れていない感じ。
個人的には、ネタバレは、観劇2回目以降の人たちが、 「こんな所でこんなこともしてたんだ!」と思う程度で、 初見の人は全く気づかない舞台でいいと思うのです。 パンフレットにある、赤川次郎のコメントのように、 小難しいトリックや陰惨な殺人、重苦しい関係ではなく、 ユーモアや会話の妙こそがクリスティの面白みだと思うし、 ネタ云々よりも、その場のテンポを楽しむ舞台にしてほしい。 それこそが、ネタなんて完璧に分かっていてもなお、 何度でも観ようと思えるクリスティの魅力だと思うのに。
けど、終演後のイベントでのQ&Aで、初見の人が 「全然、犯人が分かりませんでした」と言った時の、 「いろんなところで演技してるんだけどね」という返事に (あれくらいじゃ分からない?もっとやらなきゃ?)という 雰囲気を感じて心配になってしまったのは私だけ?(^^; 演出と好みが合わないってことで、諦めるしかない? 最後の方の深刻な部分は、結構いいと思うんだけど、 犯人が分かりきっていても楽しめる面白さ、ってものが いまひとつ欠けている気がしてならないんだけどなぁ。 それがあるからこそのロングラン芝居じゃないかなぁ。
・・・と、初演から考えればすごく良くなった舞台を前に、 それでも何か方向性が違うと思うんだけどなぁと、 言っても詮無き繰言をつぶやいてしまう私なのでした。 素直に「趣味じゃない」とだけ言えばいいのかなぁ。 でも、ウェルメイドコメディとしてのクリスティが勿体ないと、 どうしても思ってしまうんで、もう仕方がないですね。 とりあえず、初演から安定してすばらしいボイル夫人や、 「舞台に溶け込んでうるさい」演技を会得したレン君、 噛むほどにおいしくなる少佐らも、とても好きでした。
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