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2005年02月15日(火) 『デモクラシー』

昨年出来たてホヤホヤの劇場公演。
地図を見る限りでは駅至近という感じなのに、
改札を出ても全く標識がないのには まいった。
「駅の隣の丸井の11階」と聞いてきたけれど、
丸井って、どこにあるのよぉぉ(泣)

外に出ようにも出口らしきドアは閉まってるし
仕方なく駅員さんに聞けば、何度も聞かれたのか
いいかげん不機嫌そうな顔で「そこを左」。
左に行っても丸井は見えず。もう一度尋ねた
お巡りさんの説明を聞いたら本当にすぐでしたが、
帰りに地下まで降りたら、ずっと標識ありで
迷いようがなかった。地上にも地図ください・・・。

ちなみに、劇場内もちょっと分かりにくいです。
入ると正面すぐに広い階段で1階席最後方に入れ、
その周りを馬蹄形の細いロビーが囲む形なので、
ロッカーの有無や手洗いの場所が一目では分からず
人が、入ってすぐの狭い場所に溜まりがちなんです。

でも そんなのはすぐに客の方が慣れるだろうし、
客席自体は、正面が千鳥配置で、端は斜め置き、
舞台もそう高くはなく、音響も前方ではまあまあ。
後ろからでも見やすいんじゃないかという印象。
椅子が固く感じたのは・・・、演目のせいかな(苦笑)
とにかくきれいだし もう少し近ければ好きな劇場。
亀有と1駅違いじゃ、家から1時間半なんだよ・・・。


『デモクラシー』
<場所>1010シアター、3列15番(ほぼセンター)
<時間>1幕:85分、休憩15分、2幕:65分(くらい)
<出演>
 ヴィリー・ブラント(久々の社会民主党首相):鹿賀丈史
 ギュンター・ギョーム(その秘書):市村正親
 アルノ・クレッチマン(東側スパイ):今井朋彦
 ホルスト・エームケ(官吏タイプの首相室チーフ):近藤芳正
 ヘルベルト・ヴェーナー(社会民主党の重鎮):藤木孝
 ヘルムート・シュミット(永遠の次期首相候補):三浦浩一
 ウルリッヒ・バウハウス(ボディガード):小林正寛
 ハンス=ゲンシャー(内務大臣・自由民主党):加藤満
 ギュンター・ノラウ(ゲンシャーの部下):温水洋一
 ラインハルト・ヴィルケ(事務官?):石川禅

「人の名前が覚えられないし、人間関係が不明、
政治状況を理解できずに疲れ果てる舞台」だと、
先に観た人たちから脅しまくられて観に行った舞台。
でも意外に、その点ではそこまで辛いと思わなかった。
各々の人物像や人間関係については、観ていると
自然に頭に入ってくる作りにしてあるから、最後まで
分かりにくかったのは、温水さんと禅さんくらいだし。

中で少し苦労したのは名前。その場にいない人の
話をすることが多く、場合によって姓名どちらでも
好き勝手に使われるので、20個覚えなくてはならない。
ただ、「姓名とも4文字で呼ばれるのは近藤さん」とか、
「ハンスのくせに、(私にとっては『ハンス』といえば、
石丸幹二アンデルセン)丸っこいのが自由民主党員」
「垂れ目のくせにラインハルト(某小説の金髪の小僧)」
「ヘルで始まるペアは悪巧み。姓名とも『ヴェ』が入るのが
何となくベッタリイメージの藤木さん」とか、結構頭に入る。
政治背景も、「1人だけ自由民主党員」ぐらいしか
頭に入ってなくても、特に困ることはなかったと思う。
聞き流したのは鹿賀さんの最初の演説くらいかな。

でも、他の意味で、この舞台は私には辛かった。
何が一番辛かったって、多分それは私が
「鹿賀さんって魅力的」と思えないことじゃないかと思う。
この話って多分、ブラントという人物が、良くも悪くも
周囲に興味を抱かせ、影響を与える人物だったってことが
主体なんじゃないかなと思ったんです。彼を利用しようと
するヘルベルトたちも、彼に魅力があることは感じていて、
それを前提に話が進むから、私には共感しづらい。

だからか、私にとって救いだったのは今井朋彦@アルノ。
ブラントの身近にいないだけに、自分の感情としてでなく
冷静に、彼が人に与える影響力を分析して利用できる。
もともと私には、何かに情熱を持った集団というものに対して
感情移入できず、ナレーション的立場の人に惹かれる
習性があるだけに(だから『RENT』もマークだけ理解可能)
彼の立場に立ってしまうのは当たり前でもあるのですが、
初めて西独に出来た、祖国に有利になりそうな政権を
見つめるアルノの冷静な熱情を、ひたすら見つめていました。
社会主義政権の上層部にいる人に対しての偏見が、
彼のおかげで少しだけ、好意的に変わったかも(笑)

一応、劇場が変わるたびに1度ずつ観る予定で、
あと2回分のチケット取ってはあるのですが、
どうかなぁ・・・、劇場が変わったり公演回数を重ねれば、
私にとって鹿賀丈史@ブラントが「人を動かしてしまう
妙な魅力のある男」に見えてくる可能性が出てくる?
ずっとそこで引っかかるとしたら、何度観たところで、
アルノ以外の感情は理解も共感もできない気がする。
鹿賀さんの演じる役に魅力を感じたことが一度もなかった
というわけではないけれど・・・、ちょっと微妙。



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