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昨年出来たてホヤホヤの劇場公演。 地図を見る限りでは駅至近という感じなのに、 改札を出ても全く標識がないのには まいった。 「駅の隣の丸井の11階」と聞いてきたけれど、 丸井って、どこにあるのよぉぉ(泣)
外に出ようにも出口らしきドアは閉まってるし 仕方なく駅員さんに聞けば、何度も聞かれたのか いいかげん不機嫌そうな顔で「そこを左」。 左に行っても丸井は見えず。もう一度尋ねた お巡りさんの説明を聞いたら本当にすぐでしたが、 帰りに地下まで降りたら、ずっと標識ありで 迷いようがなかった。地上にも地図ください・・・。
ちなみに、劇場内もちょっと分かりにくいです。 入ると正面すぐに広い階段で1階席最後方に入れ、 その周りを馬蹄形の細いロビーが囲む形なので、 ロッカーの有無や手洗いの場所が一目では分からず 人が、入ってすぐの狭い場所に溜まりがちなんです。
でも そんなのはすぐに客の方が慣れるだろうし、 客席自体は、正面が千鳥配置で、端は斜め置き、 舞台もそう高くはなく、音響も前方ではまあまあ。 後ろからでも見やすいんじゃないかという印象。 椅子が固く感じたのは・・・、演目のせいかな(苦笑) とにかくきれいだし もう少し近ければ好きな劇場。 亀有と1駅違いじゃ、家から1時間半なんだよ・・・。
『デモクラシー』 <場所>1010シアター、3列15番(ほぼセンター) <時間>1幕:85分、休憩15分、2幕:65分(くらい) <出演> ヴィリー・ブラント(久々の社会民主党首相):鹿賀丈史 ギュンター・ギョーム(その秘書):市村正親 アルノ・クレッチマン(東側スパイ):今井朋彦 ホルスト・エームケ(官吏タイプの首相室チーフ):近藤芳正 ヘルベルト・ヴェーナー(社会民主党の重鎮):藤木孝 ヘルムート・シュミット(永遠の次期首相候補):三浦浩一 ウルリッヒ・バウハウス(ボディガード):小林正寛 ハンス=ゲンシャー(内務大臣・自由民主党):加藤満 ギュンター・ノラウ(ゲンシャーの部下):温水洋一 ラインハルト・ヴィルケ(事務官?):石川禅
「人の名前が覚えられないし、人間関係が不明、 政治状況を理解できずに疲れ果てる舞台」だと、 先に観た人たちから脅しまくられて観に行った舞台。 でも意外に、その点ではそこまで辛いと思わなかった。 各々の人物像や人間関係については、観ていると 自然に頭に入ってくる作りにしてあるから、最後まで 分かりにくかったのは、温水さんと禅さんくらいだし。
中で少し苦労したのは名前。その場にいない人の 話をすることが多く、場合によって姓名どちらでも 好き勝手に使われるので、20個覚えなくてはならない。 ただ、「姓名とも4文字で呼ばれるのは近藤さん」とか、 「ハンスのくせに、(私にとっては『ハンス』といえば、 石丸幹二アンデルセン)丸っこいのが自由民主党員」 「垂れ目のくせにラインハルト(某小説の金髪の小僧)」 「ヘルで始まるペアは悪巧み。姓名とも『ヴェ』が入るのが 何となくベッタリイメージの藤木さん」とか、結構頭に入る。 政治背景も、「1人だけ自由民主党員」ぐらいしか 頭に入ってなくても、特に困ることはなかったと思う。 聞き流したのは鹿賀さんの最初の演説くらいかな。
でも、他の意味で、この舞台は私には辛かった。 何が一番辛かったって、多分それは私が 「鹿賀さんって魅力的」と思えないことじゃないかと思う。 この話って多分、ブラントという人物が、良くも悪くも 周囲に興味を抱かせ、影響を与える人物だったってことが 主体なんじゃないかなと思ったんです。彼を利用しようと するヘルベルトたちも、彼に魅力があることは感じていて、 それを前提に話が進むから、私には共感しづらい。
だからか、私にとって救いだったのは今井朋彦@アルノ。 ブラントの身近にいないだけに、自分の感情としてでなく 冷静に、彼が人に与える影響力を分析して利用できる。 もともと私には、何かに情熱を持った集団というものに対して 感情移入できず、ナレーション的立場の人に惹かれる 習性があるだけに(だから『RENT』もマークだけ理解可能) 彼の立場に立ってしまうのは当たり前でもあるのですが、 初めて西独に出来た、祖国に有利になりそうな政権を 見つめるアルノの冷静な熱情を、ひたすら見つめていました。 社会主義政権の上層部にいる人に対しての偏見が、 彼のおかげで少しだけ、好意的に変わったかも(笑)
一応、劇場が変わるたびに1度ずつ観る予定で、 あと2回分のチケット取ってはあるのですが、 どうかなぁ・・・、劇場が変わったり公演回数を重ねれば、 私にとって鹿賀丈史@ブラントが「人を動かしてしまう 妙な魅力のある男」に見えてくる可能性が出てくる? ずっとそこで引っかかるとしたら、何度観たところで、 アルノ以外の感情は理解も共感もできない気がする。 鹿賀さんの演じる役に魅力を感じたことが一度もなかった というわけではないけれど・・・、ちょっと微妙。
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