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2004年06月23日(水) 『新市村座』

『新市村座』

<場所>ル・テアトル銀座 5列8番
<出演>市村正親
<作・演出>高平哲郎
<演目>
1幕:挨拶替り、口上、(座長着替中)、
 音楽講談『噫無情』エポニーヌの巻、西洋奇術、
2幕:芝居仕立人情噺『文七元結』、
 大喜利(御存知十八番『俵星玄馬』)、大団円

楽しかった〜!
笑って泣いて、いっぱい楽しんで、弾む足で帰宅したら
「あー疲れた、おやすみ〜」って機嫌よく寝られる舞台。
舞台の上と下の相互作用でどんどん気持ちの熱が上がって、
まさに生の醍醐味!って感じで幸せすぎ。

何だろう?市村さんの「本気」を、ものすごく感じた。
この方、とても器用なエンターテイナーであるだけに、
彼の舞台では時々、小手先で遊ばれているというか、
余裕の市村さんに遊ばされているように感じる時があった。
そのため、観ている途中で我に返ってしまうこともあったのが、
今回、そんな余裕は全くなかった。今できるすべてのことを
全力でぶつけてこられるから、こっちも全力になる。
そうでなければ受け止められない。感覚と感性、フルに
稼動させてガンガン遊んだら、そりゃ疲れるってもんで。

個人的には、2幕が より好きだったかな。
なぜか知っている話だったのですが、この、どこにも
悪人がいなくて人情に厚い話が、今の市村さんに似合う。
先の話も全部知ってるのに、お久の孝行な思いには泣けるわ、
身投げしようって文七を前に、50両握り締めて悩む左官屋の
江戸っ子魂やら何やらごちゃまぜの思いにも真剣に共感するわ。
この場面なんて「かわいい市村正親」が出ちゃいそうなのに、
そういえば、全くそんなものにはお目にかからなかった。今、
感想を書こうという段になるまで、思い出しもしなかった。
見事にすべての人々を生き生きと演じ分けて泣かされた。

♪御存知十八番『俵星玄馬』は、まさに御存知十八番。
でも、歌のドラマ度がさらにアップしたように感じるのは、
私がその世界の言葉を最近は理解できるようになったからだけ?
確かに私が「ヤマガの陣太鼓」を「山鹿の陣太鼓」と変換できる
ようになったのは今年になってからという事情はあるけれど、
どこでも絵が見えるようになったのは、市村さんの力だと思う。
最後に颯爽とマイクスタンドを槍のように抱えて去る姿に、
気が遠くなるほどかっこいい!と思ったのは、不思議なほど。

ああ、ホントにいいものを観ました。幸せ。ちょっと
「山鹿の陣太鼓」聞いてみたいかも。市村さんの姿から
聞こえてきたのと、どれほど一緒でどれくらい違うかな?
でももしかして、記憶になくても音響さんで入ってたのかも。
今回、和洋折衷太鼓の方の演奏が楽しげで楽しげで、
特に「座長着替中」の時なんて、弟子入りしたくなるくらい、
見惚れてました。またあの人にも会いたいなあ。



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