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2004年06月27日(日) |
『新選組!』25話「新選組誕生」 |
連ドラじゃん!という面白さがあり。 オープニングテロップ前も歴史説明なしでいきなり開始、 話も完全に前回の続きだし、こういう勢いは嬉しいね。 多摩編は大好きだったし、今でも時々 恋しいけど、 毎回、数年単位で話が飛んじゃうから、連ドラとしての 盛り上がりに欠けて、いつ見逃してもいい感じだったし。 いやまぁ、今回の予告で近藤が浪士髷になってたから、 また次回までに半年ぐらい間が開きそうな感じだけど。
最後の作りも好きだったな。 10分近くかけて鴨殺害を暗い場面でギッチリやった後、 明るい場面の中で、葬儀と新しい組の誕生で終わり。 青空に響く近藤の台詞、「それこそが芹沢先生の 御霊への、何よりの供養である!」って、本気だし。 実は裏で暗殺なんてことをしていようとも、あくまでも 理想のために行っていて、一応は健全(苦笑)な思想を 持った若者の集団であることを見せる終わり方。 鴨やお梅の世界は終わり。明るい未来があるはず。
メインは ほんの数時間に起こる話だけど、それぞれの キャラがとてもよく見えてきて、それも面白かったし。 第1話のオープニング数十分でドキドキした時と 同じような、短時間にギュッと詰め込まれた感覚。 「誰かさんと同じで融通の利かないところがある」と、 永倉はハミゴにされるし、山南は鴨の手下を見逃して、 後ろから襲われ、危ないところを左之に助けられる。
今回は鴨の死だったんだけど、さすがに、脚本的に とても思い入れて、かっこよく書いてもらってた感じ。 お亡くなりになる回だから当然、三谷脚本の決まりとして、 未来を語り、さあ泣いてくれという部分が入ってくるし。 お梅さんの「これで安心して死ねる」とか、剣を教えて 絵を教えて暮らそう話は、見ながら最終回だなぁと思ってた。 そういえば、あの紅葉は珍しいほどセットらしくなく綺麗だった。 斎藤と話してる辺りは、建物が安っぽいのが目立ったけど、 今回、季節感がずいぶんと出ていたのが嬉しかったな。 最期の瓢箪は、泣き笑いしながら見てたけど、最後は 酒に足をすくわれる鴨ってのが三谷的比喩なのかな?
個人的に、鴨で一番好きだったのは、近藤との場面。 「鬼になれよ、近藤」は、近藤の「俺は鬼になった」ともども、 今回貴重な笑っちゃう場面だったけど(勿論、本当はシリアス) 「一雨来そうだな・・・。おい、もっぺん見せてくれ。 悪くねえな。明日から、この名前で行けよ」が、すごーく好き。 まだまだ甘ちゃん近藤に、最後の優しさだね。おかげで最後、 近藤も心から「それが、何よりの供養である!」と言えたし。 これから全部背負って何もかも決めていかなければならない 近藤。自分は道を間違っただけに、近藤の危なっかしさは、 三谷さん的に「越えなければならぬ最初の壁=親」としての 鴨からの、最後の贈り物だったんだなぁと、ちょっとしんみり。
近藤も今回は良かったと思う。 この場面ももちろんだし、斎藤を止める場面も○。 「芹沢さんは誠忠浪士組に思い入れがあるでしょうし、 私はどうすれば良いかと悩んでいます」に対する答を 受け止めたからこそ、「既に芹沢さんは覚悟を決めている。 今ここで誰かが命を落としてもそれは無駄死にだ」と言えて。 土方に、「お前に浪士組の行く末託した」「心得た」、そして 「総司、敵は強いぞ侮るな」「はい」の2言のテンポも良く。
そういえば、近藤の「芹沢さんは覚悟を決めている」は、 それを見せる場面がちゃんとあったけれど、総司の 「あの人は私が斬らなくちゃいけないんです。芹沢さんは それを望んでる」に対応する場面は消えちゃったのね。 「俺を斬りに来い」的な鴨の台詞があると聞いてたのに。 「もう1人は誰だ?・・・嬉しいぜ」で済ませたんだろうけど、 もう一声、残しておいてほしかったような気もするな。 ともあれ総司、本当の意味での初「人斬り」。器を投げたり なんだり、剣豪っぽい感じは全くしなかったけれど、 ある意味、逆にものすごいリアルだなとも思えたかも。
しかし左之助は今回ますます、かっこよかったなー。 いや真っ直ぐ「かっこいい」と表現するには抵抗あるけど、 何をしなくちゃいけないかの判断と対応が、とにかく速いし。 斎藤が立ちはだかった時、急ぎの目的に立ちふさがる ものは、「仲間」ではなく「障害」だと思い切る速さ。 鴨だけを斬れば良いと考え、後ろから襲われた山南を救い 「戦じゃな・・・、ためらった方が負けなんだよ、先生。」って、 戦いモードに入れない山南の甘さとの大きな差を見せる。 沖田と土方に斬られて倒れた鴨の心臓に、数度 槍を刺し、 確実に絶命させる。これが、戦う者なんだなと思わせる。
この男が、ついていくと決めた相手が、いつも迷い続ける 近藤というのが、彼の本能というか本当に賢いんだと思う。 下手に、局地的判断に優れて 力があるだけに、大局を 読み違って動くと、ある意味非常に危険な人物だから。 でも最近の近藤は、土方の考えに応える際に出てくる 罪悪感などを、「すべては御公儀のため」とすることで ごまかしてしまいがちな気がして心配なんだよなぁ。 そうやって責任を丸投げする男には、左之のような男は 使いこなせないと思うんだけどな・・・。大丈夫かな?
土方さんは、まだまだ見せ場続行中の感じでした。 「断っておくがこれは単なる仲間同士のいさかいではない。 俺たちの手で新しい浪士組を作る、これはその手始めだ。 これから先、御公儀の恩に報いることができるかどうかは 全てこの一番にかかっている・・・そう思ってくれ」なーんて、 近藤の台詞を丸々取っちゃったような ずるっこさだし。 山南さんは今回は土方との目と目で通じ合うもいいけど、 左之に助けられる直前の、屋外での殺陣がさすがだった。
多分『新選組!』始まって初めての、笑いのない回。 それぞれ皆、彼ららしさを見せて かっこよかった。 前回のようなキーンとはりつめた武士らしさはないけど、 こういう、殺陣の勢いで見るのも時代劇の面白さなのかな。 最初の方の、近藤「そこまでして京に残りたくない」と、 「多摩には返さねえ!皆、お前について来てんだよ! いまさら 抜けるとは言わせねぇぞ」辺りは辛かったけど、 結構 気持ちよく楽しめた回だったかもです。
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