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2004年02月25日(水) |
映画『バベットの晩餐会』 |
一体、いつになったら日付に日記が追いつくのか(^^; といった状態ですが、飛び飛びに頑張ります。 うーーんと前に観た新感線の感想も書きたかったけど、 あれこそは、勢いで書いてしまわなくちゃの舞台だし、 今更・・・かなぁ。面白かったと私は思ったんですけどね。 書いている現時点は2/27。この映画の放映は25日です。
WOWOWで『バベットの晩餐会』という映画を見ました。 実はこれ、随分前に「食いしん坊のバイブルだ」と言われて、 いつか見なくちゃと思っていたのですが、なかなか出会えず、 数年放りっぱなしだったという代物なので、楽しみで。 でも見始めてみたら とてもとても暗くてイメージと違う。 以下、あらすじはこんな感じなのですが。
<あらすじ> デンマーク(だったと思う)の片隅にある小さな島が舞台。 1人の牧師が開いた小さなプロテスタントの一派を信仰し、 その牧師様を尊敬する村の人々10数人の小さな集まりがある。 ほんのたまに、信者の甥である軍人や旅行中のオペラ歌手が 牧師の2人の美しい娘を目当てに村の静穏を脅かすけれど、 基本的に、貧しい漁村の生活は変わることがない。
ある日やってきたフランス人の女性・バベット。 革命で国を追われ、オペラ歌手のつてを頼って訪れた。 バベットは料理が得意で、無給の家政婦として雇われる。 彼女の明るさや誠実さは村の人々に受け入れられる。 少し浮上する村の雰囲気。でも、何事も変わらない。
そして10数年。牧師は亡くなり姉妹も信者たちも老い、 何かと苛立ちやすく、ケンカも多くなってきている。 しかし、村の生活は変わることはなく続いている。 そんなある日、バベットにフランスから手紙が届く。 宝くじで、100万フランが当たったという知らせ。 彼女は今までのお礼に、村の人々に晩餐を作ると言うが・・・。
<感想> ここまで、ゆったりと静かな漁村の暮らしを描いてきた映画。 1時間強もの間、グレーにくすんだ風景と黒ずんだ衣装と、 静かに交わされる会話(ほんの時折、EntreとかGood Nightとか、 フランス語や英語らしきものも交じるけれど、基本的には 私には分からないデンマーク語?と思われる言語)だけ。 灰色の海辺で獲れたての魚の値段交渉をするなど、 飽きさせない程度の要素はあるものの、ひたすら静か。 それがいきなり動き出して、笑えるものに。
晩餐の準備にと1週間も休みをもらい、 帰ってきたバベットの下に届けられたものは、 大きな海ガメ、生きた何羽ものウズラ、大量のワインなど。 敬虔な村の人々にとっては、悪魔の誘いとも思えるもの。 彼らは、バベットの思いは受け入れて食事はするけれど、 決して食事の内容を考えたりはせず、感想も語らず、 ただ神のことのみ考えつつ食べようと固く誓い合って。
確かにバベットの料理って多少グロとも思えます。 丸いパイ生地に、トリュフなどを詰めたウズラの体を乗せ、 しっぽと頭を飾ったり。これはちょっと私も抵抗ある。 村の人々の「これは悪魔の誘いだ」という素朴な信仰には 申し訳ないと思いつつも笑ってしまった私にとっても、 ちょっとこの感覚にはついていけん・・・と思ってしまい、 微妙に村の人々側の感覚にも近づいてみたり。
この晩餐は、牧師様の死後10年記念ということもあって、 かつて姉娘に求婚した軍人(今はなんと将軍)も訪れる。 贅に慣れた彼も驚嘆するような貴重なシャンパンやワイン、 料理の数々を褒め称えても、村人は天気の話題などで避ける。 感想を言われると、慌てて話をそらす彼らの頑なさは、 これほどの料理を前にと思うと、悪いけれど笑ってしまう。
でも、その顔が、徐々に柔らかく幸せそうになってくるんです。 真正面から捉えられた表情で うっとりしている彼らは羨ましい。 先のウズラのパイ焼きも、頭を噛んだ時のパリパリしたいい音! これと、彼らの表情を見ているだけで、抵抗など消え去る。 何かとケンカしがちになっていた彼らが、「まあお互い様だな」 なんて言葉で、きっかけを柔らかくやりすごせるようになり、 相変わらず料理については一言も語ることがないけれど、 彼らとともに幸せに温かい気持ちでいっぱいになってくる。
少し後日談があって、やっぱり暗い画面で終わるのですが、 感想としては本当にやっぱり、「食いしん坊のバイブル」。 食べることの大事さ、幸せを知っている人には絶対共感できる。 丁寧に人々の顔を撮っていっただけの映画で、難しいことは 何もしていないけれど、この満足感といったらただものじゃない。 1時間46分だったかな?短い映画ですが、確かにお薦め。 とても幸せな時間でした。
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