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2003年02月03日(月) |
グローブ座3部作『トイヤー』 |
土曜日の昼頃から妙に眠かったんだけれど、 翌日、仕事行ったら本格的にダウン。 倒れこんで寝ていて目が覚めたら出勤時刻で 電話引き寄せて欠勤連絡してそのまま寝てた。 目が覚めたら5時前。まだ相当 頭痛いけど少し元気。 何か食べようと思って財布引き出したところで チケット袋が出てきて思い出した、7時開演だ!!!
判断力にぶってたんですね〜、着替えて飛び出して。 電車乗ってるの正味30分くらいなのに3線使うから、 後悔したのは3分前に劇場に駆け込んだのに 開演が5分遅れた、その妙に静かな間のあいだ。 何やってんだ私と思ったら急に周りの咳が気になったり。 そんな状態で観始めた舞台の感想ですが。
<幕>1幕50分、休憩15分、2幕60分くらいかな? <作>ガードナー・マッケイ <演出>ロバート・アラン・アッカーマン <出演>ピーター:井ノ原快彦、モード:中川安奈
※注!※ 思いっきりネタばれてます。 観る予定のある人は読まないこと推奨!
開幕2日目。 モードが若村麻由美から中川安奈に変わったこと以外、 何も知らない真っ白な状態で観に行きました。 『トイヤー』が『TOYER』なのも、途中で気づいたくらい。 独り暮らしの女性の家に深夜に訪ねて来た1人の男。 昼間、彼女の車を直した際の忘れ物を取りに来たと言う。 友人に電話をしたいからと言う彼を部屋に入れたが、 何か様子がおかしい。もしや彼は、彼女につきまとう 「ヴワイヤール(=覗き魔)」なのだろうか? それとも世間を騒がしている、女性に薬を飲ませた後 脳を手術して植物人間にする「トイヤー」なのだろうか?
二転三転する彼の行動。 途中で「僕は役者で、今のは演技なんです」と 言われた時、それを思い切り信じたくなったくらい。 何を考えているのか分からないけれど無邪気な瞳で 「僕がトイヤーです」と告白した時の態度も、 実際には女性に手を触れる事もできず見つめるだけの 内向的すぎるヴワイヤールなのだと言われている時も、 「実は役者なんですよ!騙してすみません」と 言う時の妙なほどの明るい多弁さも全部本当に見える。
どれもが本当なんて事はあり得ないのだから、 どれが真実か分からないことへの、そしてそれが 自分の死につながるかもしれない恐怖感があるのに、 どの姿もあまりに魅力的なせいで翻弄されてしまった。 無邪気で人当たりの良い態度。筋肉質の男性の体に 節ばっているがきれいな手。回転の良い頭と会話。 それが、「私」に対して高い興味を示している。 それに抗するのは本当に大変で、私はさっさと白旗。
対する中川安奈さんの方には、もう一歩!感があった。 何だろう?キツさで反抗しているように見える点かな? モードは精神科医の医者で、トイヤーの被害者と毎日接して トイヤーについて毎日考えているという状態。 だからこそ、自分の生命が懸かっている状態ですら、 ただ犯罪者に恐怖するのでも魅力に翻弄されるのでもなく まるで実験のように彼に興味を覚えて対せたのだと思う。
自分が殺されるかもしれないという状況の中で、 本物に対峙しているという高揚と興味が先に立つ人間。 そういう意味でモードも、ある意味 一般的ではない、 観客よりずっとトイヤー寄りの人物のはずだと思う。 なのに、とても常識的な医者に見えたのが敗因かも。
もっと、いかにも精神科の医者らしい感じで、 相手の出方を見ながら手を変え品を変えしながら 相手を理解し すり寄ろうとしてみせる感じが欲しかった。 その演技力がトイヤーと重なるところこそが、 この作品の魅力でもあると思うと、すごく残念。 つい比べてしまうけれど、若村麻由美さんにある 女性的な丸い魅力があれば良かったなと思ってしまう。
他にも、壁は全面ガラス張りなんだろうか?とか、 最初のうちは数点、気になる所がなかったではないけれど、 2人の駆け引きに引き込まれたまま観終えてしまいました。 飽きるような間もなく、置いていかれるほど速すぎもせず。 モードがかける音楽の使い方も効果的で、 演出の良さにも感嘆させられた芝居でした。満足。
あ、トイヤーが「死」ではない、殺してはいないと 何度も言う理由は、私には理解できませんでした。 殺してないから刑が軽いというのは許せないと、 モードが言ってたけれど、そんな理由じゃないと思うし。 ただ殺すより、より実験的で精神的に病んだ気はするけど、 そんな理解でいいのかなぁ?
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