「アン・・」
・・・・母からの電話だった・・・・
そして すぐに弟に代わられた。
「姉ちゃん、オヤジが事故って 今 病院。医大の救急の方。 今 手術中やけん。 」
「えっ?!!!」
「大丈夫。心配ないけど、一応報告と思って。」
落ち着いた声だったが わたしは胸騒ぎがしていた。
ほんの 1週間前、父と母は我が家にやってきて 一緒にお昼を食べたばかりだった。
その時何故か急に 実家に行きたくなり そのまま 子ども達と 一緒に両親のもとで一泊したのだった。
翌日 我が家に帰るとき 父は果物を並べていた。 わたしは 後ろからそっと近づき・・・
「お父さんっ! じゃ、帰るけんね。」と笑って言った。
父はニコリとすると お店の前まで出てきてくれ わたし達が見えなくなるまで 手をふってくれていた・・・・・・。
わたしは 子どもを連れ、電車に飛び乗った。
病院には家族ばかりか 親戚一同が集まっていた。
手術は長引いた。
わたしは 知らなかった。 父の怪我がどれくらい悲惨なものだったかということを。。。
ひき逃げだった。
2日後 その男は捕まった。 事故の常習犯だった。
早朝、市場に出かけるために 駐車場へ車をとりに行く父。 県道を渡る父に向かって 100kのスピードで10トントラックが突っ込んできた。
父は自動販売機の横にボロキレのように吹き飛ばされた。
そのまま 1時間以上も・・・・誰にも気づかれず・・・ 父は冷たいアスファルトの上に 放置された。
救急車の中で意識が戻り 立ち上がろうとしたそうだ。 弟と母は必死に押さえ 祈った・・祈り続けた・・
病院までの道のりが 異様に長く 果てしない時間に思えた・・・
・・・続く
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