「恥ずかしい受賞者」と「不可解な辞退者」 - 2003年12月02日(火) 「流行語大賞」が発表されたのだが、僕には解せないことがある。 今年の流行語大賞に選ばれたのは、「マニフェスト」「なんでだろう〜」「毒まんじゅう」の3つだったわけだが、もっと他に流行った言葉はあるだろう?とかいう気はする。まあ、これは毎年そんな感じなので、別に目くじら立てるようなものでもないだろう。 なぜ?と思ったのは、「毒まんじゅう」で流行語大賞を受賞(?)した野中広務・元自民党幹事長が、嬉しそうに会場に現れて、自分が出す本の宣伝までしていった、ということだ(実は本の宣伝に来たのかもしれないが) だいたい「毒まんじゅう喰らった」というのは、野中さんが政敵に対して放った攻撃の一節なわけだから、要するに「他人の悪口」なのだ。 もしあなたが、自分の知り合いを「バカ」と罵るのに気の利いたレトリックを駆使して、その言い回しが「流行語大賞」とかになったら、どう思うだろうか?やっぱり嬉しい? もちろん、他人の悪口というのが名言名句の宝庫だということは、歴史的にも証明されている。だから、「毒まんじゅう」が流行語大賞を受賞することについては、僕は異論は無い(名言だからというわけではなくて、悪口だから、という理由ではスポイルしない、ということです)。 でも、他人の悪口で賞を取ったからといって、喜々として会場に現れて、授賞式に参加したりするのはどうかと思うのです。だって上質の皮肉とかウイットじゃなくて、単なる「罵詈雑言」の部類だよ「毒まんじゅう」って。 僕だったら、自分がそんなこと言ったなんて、絶対誰にも自慢げに吹聴したくないけどなあ。 芸人であるテツ&トモや、「マニフェスト」の提唱者は、「それが社会に受け入れられることを目的としていた」のだから、素直に喜んで当然だと思うんだけど。 あと、SMAPの「世界で一つだけの花」がレコード大賞辞退、というのもなんだかよくわからない。 辞退理由として、【SMAPは受賞辞退について、所属のジャニーズ事務所とビクターの連名で「この曲は歌詞の中にあるように“No.1”を目指すよりは“Only one”を大切にしたいと言う気持ちを胸に唄ってまいりました。輝かしい賞をいただくことより、私共の歌ってきたメッセージを貫きたく御辞退させていただきたい」とコメントした】ということだが、さて、No.1とonly oneは、両立しないものなのだろうか? この歌に込められているメッセージの普遍性は僕にも理解できるのだけれど、別にレコード大賞を受賞したからといって、この歌の価値が損なわれるものでもないだろう。売れた数と世間のこの歌への認知度からいって、出れば大賞間違いなしだと思うのだが。 この歌が、「自分らしく生きれば、別に向上心がなくてもいいじゃない」みたいな解釈のされかたをしてしまうのは、ちょっと勿体無い気がする。 よく思い出しでもらいたいのだが、この歌の大ヒットの要因となった、ドラマ「僕の生きる道」で、癌に侵された中村先生は、子供たちと「合唱コンクールでの好成績」を目指したではないか。「参加さえできればいい」なんていう感じではなかった。 彼らが、歌というフィールドで勝負しているかぎり、「賞なんか要りません」とかいうのはヘンな気がする。それなら、「いい曲さえ出せれば、売れなくてもいいんです」だって成り立つはずだし、突き詰めれば、CD出す必要すらないわけだ。 まあ、これは半分言いがかりで、みんな楽しみにしてるだろうから、出てあげればいいのになあ、と思うだけなのですが。 「賞のため」じゃなくて、結果として貰える賞なら、貰ってもバチは当たらないんじゃない? あと、「世界に一つだけの花」は、みんな頑張って咲こうとしてるんだからね、念のため。 この歌を言い訳にしようとすると、「世界で一つだけの雑草」になっちまう可能性大。 ...
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