ダイエーホークスと移り気な人々。 - 2003年11月07日(金) 人間ってのは、現金なものだ。 福岡ダイエーホークスの中内オーナーが、選手たちに無視されたという話を読んだ。 「僕たちのリーダーだった小久保さん」を放出したから、だそうだ。 さらに、球団事務所には、1000件を超える抗議電話が。 僕も、小久保を(しかも巨人に!)無償で放出するなんてヒドイ話だと思っていたのだけれど、考えてみれば、ダイエーは福岡の人にとっては恩人なのではないだろうか? ダイエーという企業が、大阪が本拠地だった南海ホークスを買収して、福岡に本拠地を移転した。そして、それまで使われていた平和台球場の替わりに、新しい本拠地として福岡ドームを建設した。 そして、金と人脈を駆使してドラフトとFAで有力選手を集め、ついに日本有数の人気&実力球団となったのだ。 「ダイエーホークス」が福岡に根付いたのは少なくとも福岡ドームが完成してしばらく後のこと。最初は、西武ファンのほうが多かった土地柄なのだ。 1999年の優勝以来、福岡にはダイエーファンが激増し、今では「福岡県民」=「ダイエーファン」に近い状況になった。 それも、ダイエーが福岡に移転して以来、湯水のように投資をしてきたダイエーの力なしではありえなかっただろう。 実際、ダイエーの球団経営は、単年度では黒字でも、莫大な有利子負債を抱えているのだから、ここまで畑を耕してきたという事実には驚嘆すべきだろう。 今回の「無償トレード」で、ダイエーホークスがここまで幻滅されている、という事実について、僕は人間の心の身勝手さを思わずにはいられない。 俺たちのチームが優勝するために、お前たちはどんどん金を遣え!というのはファンからしたら正論でも、経営陣としてはたまったものではないだろう。 「もっとお金のある企業に」とか言っても、弱い時代から「ダイエー」というチームにとって不毛の地であった福岡を開拓してきたダイエーを、用済みになったら不買運動では、あまりにも移り気ってものじゃないだろうか? それに、「ちょっと弱くなったり、ちょっと問題が起こったら不買運動」なんてチーム、怖くて買えないよ。 巨人がどうして球団経営に金をかけられるかというと、あの企業は、球団運営自体が、「広告」の範囲を超えた、企業活動の一部なのだ。 「あくまでも広告」ということなら、広告費の範疇を超えた投資なんてできなくて当たり前だと思う。この競争は、最初から不公平なのだ。 なんのかんの言っても、また来シーズンになれば、みんなダイエーホークス(いつまで「ダイエー」なのかはわからないが)の応援をするんだろうけどさ。 本当に、人間ってやつは、10年の恩も3日で忘れてしまう生き物だね。 ...
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