マニアックな憂鬱〜雌伏篇...ふじぽん

 

 

オンライン文学の可能性を声を大にして語ってみたり。 - 2003年10月31日(金)

「やっぱり、本はあの重みがいいよね」

とか、僕を含む本好きは、みんな思っているに違いない。
文庫本は、ややポケットからはみだしつつもなんとか携帯できるし、新刊書(僕はとくに、歴史小説とかの分厚い本が大好きだ)には、値段相応の重みがある。
好きな作品のハードカバーは、たぶんもう読まないと思っても「記念買い」してしまうこともある。

しかし、今日論文の検索をしていたら、僕が読みたい論文は、「オンラインで読んでください」ということで、アッサリと書架から姿を消していた。
それで、PDFファイルからプリントアウトして、今論文を読んでいるわけなのですが。

オンライン書籍の可能性は、初期にはいろいろかところで語られていた。
作者から読者へダイレクトに発信することが可能になるとか、中間マージンが発生しないので安くなるとか、何より、場所をとらないだとか。
 新聞などは、ネットで済ますという人は多いはず。でも、たまに新聞を手にとってみると、ネット上に載せられているのって新聞全体の情報量のほんの一部なんですね。まあ、ネットで得られる情報の範囲で不自由していないというのも事実なのですが。
 でも、まだ大部分の小説や雑誌は、なんとか生き延びているわけです。

 今回は小説に限って話をしてみたいのですが、オンライン小説って、読んだことありますか?
 ネット上には、けっこうたくさんの創作小説があるのですが、普通のテキストサイトの一日分の更新量くらい(まあ、慣れてないところなら原稿用紙2〜3枚(1000字くらい)、行きつけなら原稿用紙10枚くらいまでなら、読めないことは無いと思うけど、本格的なものを読み通しタコとがあるという人は、少ないのではないでしょうか。

 その原因として
  1)ディスプレイは長時間見つめていると、かなり眼が疲れます。
  2)編集者などの第3者のチェック機能が働いていないので、レイアウトや改行などが練れておらず、ストレス。誤字脱字・
  3)パソコンの前にいないと読めない。
  4)読むときに、パソコンの電源を入れ、さらにサイトなりファイルなりをクリックするのがめんどうくさい。
  5)有料の場合、金額がたいしたことなくても、個人情報とかカードの番号を入力するのは、手間がかかるし不安。
  6)ネット上の創作小説は、完結する可能性が低い(人のことは言えませんが、「小説」であるかぎりは、完結しなければ価値は半減以下だと思います。途中で著者が亡くなったため止まってしまった小説を読むのって、寂しいですよね)。
 いっそのこと、完結させてから発表していけばいいのに、といつも思います。

 偉そうに、とか思われるかもしれないけど、読者というのは基本的にワガママなのだよ。

 でも、オンライン小説っていうのは、大きな可能性も持っていると思うのです。
 ます、上の(2)の裏返しなのですが、やはり、生の言葉を届けられるというのは、一つの魅力になるでしょう。出版社だって企業ですから、広告主を怒らせたくないとか、いろんな思惑もあるでしょうし。
 それに、昔筒井さんがやっていましたが、読者のリアクションをリアルタイムに反映させるような実験的な作品だって可能です。
 同じ作品に、どんどん手を入れていくことだってできるでしょうし。
 邪道だ、と思われるかもしれないけど、音や絵だって使えます。
 本格的なやつは個人の力では難しいかもしれないけど、ちょっとした一枚の絵や短い音楽でも、使い方によっては非常に効果的。

 でも、僕がいちばんオンライン文学のメリットだと思うのは、「あと何ページあるのかわからないこと」なんですよね。
 本好きの方は解っていただけると思うのですが、本を読んでいると、どんな大事件が途中で起こっても、「まだ150ページくらいあるから、こいつが犯人じゃないな」とか、「なんか全然話がまとまってないんだけど、あと50ページくらいだから、そろそろまとめに入るんだろうな…」とか無意識のうちに考えてしまいませんか?
 やっぱり、残りのページ数って、気になるんですよね。
 面白い本であればなおさら。

 しかし、オンライン文学の場合は、明示されていなければ、いつ終わるか判断する手段がないわけです(わかる人には、ファイルのバイト数とかでわかるかもしれないけど)。
 それって、いままでの活字媒体での文学が超えられなかった大きな壁だと思います。
 
 まあ、「オンライン文学の特徴を生かす!」とか言いながら、尻切れトンボで終わってしまったり、うんざりするほど続く作品ばかりでは、どうしようもないでしょうけど。

〜〜〜〜〜〜〜 

そうそう、昨日のお題(?)「タランティーノはアメリカではどういうふうに呼ばれているか?」
なのですが、こちらの方に教えていただきました。
「現地の大学生たちは、『タランティーノと呼び捨て』」だそうです。
もし、「うちの地域では違う!」とか「みんな『クエ』とか『タラちゃん』って呼んでるよ!」とか追加情報がありましたらぜひ。



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