マニアックな憂鬱〜雌伏篇...ふじぽん

 

 

筋を通せなかった星野阪神と空気を読めない王ダイエー - 2003年10月28日(火)

ダイエーホークス日本一!
どのメディアも本音は言わないが、世間の流れとしては「阪神日本一で、星野監督男の花道」というシナリオを期待していたのだと思う。
しかし、現実はそんな期待に冷水をぶっかけるようなダイエーの快勝。
まあ、現実とはえてしてこんなもので、以前同率首位の両チームの最終決戦になった巨人vs中日も、巨人が一方的に打ちまくって勝った。
こういうドラマチックな舞台装置では、意外とワンサイドになってしまったりするのだ。

それにしても、今日の星野監督は、どうも浮き足立っていた。
昨日伊良部を先発させたなら、今日の先発は井川だろう、と思ったのに。
それが、筋を通す星野流なのではないか。
確かに、第3戦でムーアはダイエー打線を抑えたが、この最終戦は、やはりエースにすべてを託すべきではなかったのだろうか?
今日ムーアを投げさせるつもりなら、昨日ムーアで勝負に行くべきだった。

今日の試合の継投にしても、ピッチャーは全員使っていいのだから、あそこまでムーアを引っ張る必要性はまったくなかった。
ムーアが危ないと思ったらすぐ他のピッチャーに変えて、それでもダメなら次、でも良かったのに。
2番手のリガンも、ごく普通の継投だが、あの状況で負けていれば、あそこで井川でも良かった。
井川は中継ぎ向きではなかったかもしれないが、少なくとも選手たちに「逆転するんだ、という執念」を感じさせることはできたはずだ。

1回の攻防がすべてだったのかもしれない。
この大事な試合で先取点を取れたおかげで、ダイエーはずいぶんラクになった。
対する阪神打線が、「早く追いつかなければ」というプレッシャーでどんどん金縛りにあっていったのとは対照的に。

確かに、ダイエーは強いチームだ。
100打点カルテットも凄い。
ただし、7戦勝負のシリーズ向きのチームであることも事実で、実はアテになる先発投手は、斉藤・杉内・和田(+故障がなければ新垣)しかいない。中継ぎ・抑えは手薄なくらいだ。
でも、数年前のシリーズで、R.ジョンソンとシリングの大車輪の活躍でワールドチャンピオンになったダイヤモンドバックスのように、柱になるピッチャーがいるチームのほうが、傑出した選手は少なくても駒が揃っているチームよりも短期決戦向きなのだ。
だから、阪神がダイエーより弱いというより、阪神はむしろ長丁場で力を発揮するチーム編成だった、ただそれだけのことなのだ。
ビリーヴとヒシミラクルのどっちが強い?なんて質問は、舞台が違えば結果も違うのだから、あまり意味がない。

星野監督は、これで勇退するということ。
とりあえず、お疲れさまでした。
僕は星野監督の計算高い熱血漢ぶりが大嫌いで(おまけに親友のチームの4番を平気で引き抜くような男だから)、負けろ負けろと念じてきたのだが、実際に負けてしまうとけっこう寂しいものだ。
もちろん、勝たれていたらそれはそれで辛かったが。

阪神にとっては、相手がダイエーだったのが不運なシリーズだった。
たぶん、相手がダイエー以外のパリーグのチームだったら、今年の阪神の勢いなら、ビジターの試合でもプチ甲子園のようなムードにできたはずだ。
唯一、それが不可能だた相手が福岡ダイエーホークスだった。

結局、ホームゲームの多いほうが勝った。
ただ、それだけのことなのかもしれない。

しかし、日本一のビールかけは楽しそうだったなあ。
リーグ優勝のときは、「まだシリーズがある」って感じだけど、これは本当の「勝利の美酒」だ。

胴上げとビールかけって、現代に遺された数少ない男のロマンのような気がする。

たいがいの女性には、「ビールがもったいない」って言われるものだけど。


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