マニアックな憂鬱〜雌伏篇...ふじぽん

 

 

「最高の敗者」ボストン・レッドソックスへの賛辞 - 2003年10月18日(土)

メジャーリーグのリーグチャンピオンシップで、松井秀喜選手が在籍するニューヨーク・ヤンキースが、劇的な逆転勝ちでワールドシリーズ進出を決めた。
同じ日本人である松井の活躍と彼が在籍するチームの勝利は嬉しいことなのだけれど、今日の新聞でこんな記事を見た。

【あと1歩届かなかった。エースのペドロ・マルティネスを立て、8回途中まで3点をリード。Wシリーズまであと「5アウト」まで迫りながら、夢はついえた。

 試合後、静まり返ったロッカー室。今季途中から報道陣と接触しなかったペドロ(ボストン・レッドソックスのエース、ペドロ・マルチネス)が、取り囲んだカメラの前で少しずつ重い口を開いた。「オレはチームのエース。球数なんか考えてなかった。勝つためにできる限りのことをしようとしただけだ」。1点を失い、なお8回1死一塁の場面。この時点で球数は115球。だが、マウンドに来たリトル監督に、ペドロは続投を志願した。「彼は我々にとって誰よりもマウンドにいてほしい投手なんだ」。リトル監督が下した決断は、「ペドロと心中」だった。

 だが、結果は松井、ポサダに連打を浴びて同点。息を吹き返したヤ軍の勢いは止まらなかった。延長11回裏、中2日で登板したウェークフィールドの魔球ナックルが左翼席へ消えて、すべては終わった。「調子は良かった。できるだけ長く投げるつもりだったが、不運なことが起こってしまった」。目を真っ赤にした敗戦投手は、声を震わせながら試合を振り返った。

 1918年以来、世界一から遠ざかってきた「ベーブ・ルースの呪い(のろい)」は、またも振り払えなかった。それでも、ペドロは言った。「誰かを指さしたければオレを指せばいい。点を取られたのはオレ。のろいをかけたければ、オレにかければいい。投球と決断の責任はオレにある」。球史に残る激戦には敗れた。だが、野球の妙味を示したレ軍の伝統が、色あせることはない。】

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 ヤンキースに敗れた、ボストン・レッドソックスは、ヤンキースと同じ東海岸に本拠地を置くチームで、ヤンキースとは宿命のライバルと呼ばれてきました。
 しかし、上の記事にもあるように、レッドソックスは、1918年以来ワールドシリーズ優勝はなし。
 なぜ、それが「ルースの呪い」と呼ばれているかというと、1918年当時にレッドソックスに在籍し、チームのワールドシリーズ優勝に貢献したベーブ・ルースが、1920年1月に金銭トレードでにヤンキースに放出されて以来、レッドソックスがワールドシリーズ制覇を成し遂げていないからなのです。

 ちなみに、ベーブ・ルースを獲得したあとのヤンキースは、急速に力をつけ、それまで一度のリーグ制覇もなかったのに、ルースの在籍中に7度のリーグ優勝と4度のワールドシリーズ制覇を果たしたのです。

 それにしても、ヤンキースを応援している人間にとっては「奇跡の大逆転勝ち!」だった昨日の試合は、レッドソックスファンにとっては、「悪夢の逆転負け…」だったわけですよね。
 あの試合展開では、レッドソックスファンの多くは、勝利を信じて疑わなかったでしょうし。
 上の記事でのエースのP.マルチネスやサヨナラホームランを打たれたウェークフィールドのコメントは、読んでいて痛々しい限りです。

 松井選手の存在を除けば、僕はボストンに行ったこともあるし、日本で言えば「巨人軍」のような、なりふり構わない大型補強を続ける金満球団、常勝ヤンキースよりも、レッドソックスのほうにシンパシーを感じてしまうのです。本当に、惜しかったなあ、と。

 松井選手が戦犯になることを免れたのはいいことではありましたが、今回のシリーズで、レッドソックスが見せてくれた意地を僕は記憶にとどめておきたいと思うのです。
 あなたたちは、間違いなく最高の敗者だった、と。

 よくやった、レッドソックス!!




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