「正しいこと」の牢獄。 - 2003年10月12日(日) 「私の言うこと、何か間違ってる?」 そう、君の言うことは、常に正しい。 僕は休日だからといって惰眠を貪っているし、そのわりには肝心な仕事も遅々として進んでいない。 おまけに僕はギャンブル好きで、いつも結果的には負けるとわかっている賭け事に身を委ねるし、部屋の掃除だって苦手だ。 そう、君の僕に対する意見は、常に正しい。 さすがに長年の付き合いだけあって、よく当たっているよ。 最近、僕は君がいないと気がラクになるんだ。 嬉々としてパソコンの電源を入れてネットをやったり、君が嫌いなカレーライスを大盛りで食べたりするんだ。 そう、確かに君の言うことは正しい。 僕はもっと勉強すべきだし、君を構ってあげるべきだ。 偉そうにネットで匿名で能書きなんて垂れてる場合じゃないよね。 でも、今日、僕は気がついたんだ。 僕が間違っていたことに。 確かに、君の言うことは正しい。それも完膚なきまでに。 でもね、僕は君に聞きたいことがあるんだ。 君は、「正しさ」の怖さを知っているかい?って。 そりゃ、理不尽な感情論やイヤミだって勘弁してほしいさ。 でも、それに対して僕は、「どうせ八つ当たりなんだから」と心をガードすることができる。 でも、「正しいこと」は違うんだ。 それは、どこまでもどこまでも追いかけてきて、僕の心に容赦なく突き刺さる。 そして僕は、その「正しさ」で埋め尽くされた牢獄で、窒息しそうになる。 「正しさ」に追い詰められることは、本当に辛いんだよ。 だって、逃げ場がないんだから。 僕は、どうしようもない人間だけど、これだけはわかる。 「完璧に正しいこと」ほど、他人を傷つけるものはない。 でも、君は僕に「正しいこと」を振りかざし続けている。 僕は少しだけオトナになったから、正しいことがすべてを解決しないことを知っている。 君はいつか、僕に凄く残酷なことをしていたことに、気がつくのかな? ...
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