「あなたにとって、個人サイトとは何ですか?」 - 2003年10月10日(金) 「あなたにとって、宇宙とはなんですか?」 一昨日の夜観ていたテレビ番組の最後に、インタビュアーは尋ねた。 尋ねた相手は、宇宙への夢を追って、NASAで働き続け、アポロ11号の月面着陸に唯一スタッフとして関わった経歴を持つ日本人。 もちろん、この科学者は、この質問に対して宇宙への想いを真摯に語っていたのだけど。 この手の「あなたにとって、○○とは何ですか?」という質問が流行り始めたのは、いつごろからなのだろうか? たぶん、最初に誰かがこの質問形式を思いついたときは、すごく斬新な発想だったのだと思われる。 それまでのインタビューというのは、「おそらく読者(あるいは視聴者)がこの人に聞きたいであろうこと」をインタビュアーが考えて、それを相手から聞き出す、というのが通常のインタビュー形式だったから(今でも基本はそうなのだけれど)。 でも、最近の風潮だと、この「あなたにとって、○○とは何ですか?」という質問は、「ここからは、フリートークなので、面白いこと言ってね!」というようにしか僕には思えない。 以前、明石屋さんまが、番組の台本に「(ここから10分、さんまのフリートーク、会場と楽しいおしゃべり)としか書いてないことがあった」ということをボヤいていたが、彼のようなトークの達人ならともかく、普通の人間に面白いことがいきなり言えるわけがないではないか。 というわけで「あなたにとって…」という質問が出るたびに、僕はインタビュアーの怠慢を感じてしまい、思わずチャンネルを変えたくなるのだ。 それは、プロの仕事じゃないだろう?って。 僕も「あなたにとって、個人サイトとは何ですか?」という質問をされることがある(ごくたまにですけど)。 たしかに、積極的にリアルでのコミュニケーションを求めているわけでもないし、何かを声高に主張しているわけでもない。広告でお金が儲かるわけでもない。 でもね、僕にとっては、「積極的にコミュニケーションをとらなくてもいい」とか「何も声高に主張しなくてもいい」し「別にお金を儲けるためにあくせくしなくていい」というのが、個人サイトの良いところなんですよ。 そう言っても、100%の人が理解してくれるわけもないんだけどさ。 僕の価値観を誰かに強要しようとは思わないし、誰かの価値観をそのまま受け入れようとも思わない。 僕にとって、サイトというものは、「ただ、そこにあるもの」でしかないのです。 そこから派生してくるものは、単なるオマケ。 というわけで、僕はあらためて問うてみたい。 「あなたはどういう意図で、『あなたにとってサイトとは何ですか?』とか聞くのですか?」って。 そういうふうに手抜きをしているにもかかわらず、自分は気のきいた質問をしている、と思い込んでいる人というのは、けっこう多いような気がします。 <蛇足> そうそう、昔、中島らも氏が、こういう手抜き質問に対する必勝法を編み出していた。 それは「人生固め」というのだが、用法は次の通り。 Q「彼女に振られちゃったけど、どうすればいいかな?」 A「それが人生だよ」 Q「あなたは、どうしてサイトをやっているのですか?」 A「それが人生だからです」 ちなみに、「青春固め」というのもあるそうです。 〜〜〜〜〜〜〜 お知らせ:「いやしのつえ」絶賛公開中! ...
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