マニアックな憂鬱〜雌伏篇...ふじぽん

 

 

せつない七夕。 - 2003年07月07日(月)

 今日は7月7日、七夕だ。
 最近はそんなにたくさんはないのかもしれないけれど、昔はいろんなところに短冊を吊るした笹がみられたものだった。
 そんな「迷信」なんて信じない僕にとっては、短冊を書く(しかも、それって自分の願いが、不特定多数に見られる可能性があるんだよ!)なんてことは、とても恥ずかしいことだという意識があって、滅多にそんなイベントに参加することはなかったし、書くとしても当たり障りのないことを書いてお茶を濁してきた。
 
 大学の5年になって、病院に出入りするようになると、そこにもたくさんの七夕飾りを見るようになった。
 そこには、全部ひらがなの幼い字や、達筆すぎて読むのに困るような字で、さまざまな願いが書かれている。

 「はやくびょうきがよくなりますように」
 「妻が退院できますように」

 それらの言葉を見つめていると、涙が出そうになる。

 僕は、短冊に書いた願いが叶うなんて、これっぽっちも信じてはいない。
 でも、このささやかな心からの願いを誰か叶えてくれないものか、と心から思う。
 本人にも、家族にも、医療者にも手が届かない、失われていくもの。
 それでも、手が届かないと知りつつも、空に向かって手を伸ばさずにはいられない気持ち。
 
 病院の七夕は、毎年、ちょっと切ない。



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