Comes Tomorrow
ナウシカ



 今そこにある医療危機

今の勤務医がみんな開業したら、街には小さな診療所がいっぱいになります。
うちの近所も歯科医が溢れてます。

でも、歯科は医師は医師でも、一般の医師とはまた違うかな。
自由診療の領域が、一般の医師よりも広いんじゃないでしょうか?
私もよく知らないけど。

『医師がいなくなる』ということは机上の話か?

机上ではなくて、ほんとに現場では困ったとよく聞く話です。
開業医ばかりが増えても困るんです。
ちゃんと緊急の事態に重症患者を診て、ちゃんと処置なり手術なりできる医師、施設がないと。

それに何も大病院を辞めた医師皆が皆、開業するわけではありません。
都会の真ん中で、雇われ医師としてサラリーマンのように医師業を続ける人もいます。

昔みたいに、診療所兼自宅に医師がいて、夜中に『ドンドンドン、先生お願いします』と言って、やってくる急患を診てくれるような街医者は増えてはいません。
自宅は別にあって、通勤で診療所に来て、時間が来たらサッサと帰る…医師にとっては、その方が楽でしょう。

軽症患者を診る医師は増える。
重症患者は高度医療にかかれるでしょうが、それこそ運次第。
昨今の救急医療を見ていてもわかるでしょう。
そこから漏れた人は死ぬのを待つだけになるかもしれない。

中程度の病状の患者さんは、小・中規模病院で診てもらえるかもしれないけど、治療の施しようのないホスピス患者、介護領域の患者さんは順番待ちで、ほんと適切な医療・看護・介護を受けるのも難しくなる。
お金持ちなら、ヘルパーでも何でも雇って見れるでしょう。

どうしても、この現状がそのまま行くと、漏れ出る患者が出てくる。

介護事業所も一時乱立して、だいぶ淘汰されましたけど、だからといって今ちょうどいい感じに充実してるかといったら、そんなことはない。
高齢者、障害者の中でも一番困っているのは、小児の重度障害者。
家族に重く負担がのしかかっています。

医療・介護が、資本主義経済の渦に巻き込まれてしまっています。
でも今と比べて、昔は良かったかというと、そうも言えない現実があります。
試行錯誤しながらでも、少しでも良い方向に行くといいのですが…

医療過誤裁判、私は賛成ですよ。
情報をちゃんと開示して、ちゃんと専門家による検証をして(決して身内を庇うような形にはしないで中立の立場で)本当に裁くべき症例かどうか見極めて決めてほしい。

そうなれば、医師も逃げないで準備をしなければいけませんね。
保険みたいなものあるのでしょうか?
医師も、患者と患者家族も多大な痛みを伴うでしょうが、再び社会が信頼関係を取り戻せるなら、どんどん公正な裁判をしてほしい。
私はそう思います。


2009年04月20日(月)
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