Comes Tomorrow
ナウシカ



 医師数の絶対値は減らないは本当か?

私は私の知る現場の話しかできませんから、統計なんかの数値は出せませんが、うちの病院の話をしましょう。

ある日、患者さんがうちの眼科に来て、『○○病院の眼科がなくなってしまって(閉鎖)、それでこちらに来ました。ちょっと遠いんですけど、あちらが無くなってしまったので…』と困り顔で来られました。
これからの通院が大変そう。

これまたある患者さんが、『大学病院で診てもらってたんですけど、白内障の手術、こちらの病院でしてもらえないでしょうか?』
よくよく話を聞いて、検査一通りして、出た結論は…

ドクター『あなたの場合、全身麻酔をしながら手術をした方がいいですね。
でも、うちでは全身麻酔で白内障の手術はしてないんですよ。
大学でしてもらったら、どうですか?』

患者『いや、大学は嫌なんです。
手術の予定は数ヶ月先ですし、こちらが家から近いし、こちらでお願いしたいんです』
切実に頼まれる。

ドクター『できるものなら、うちもしたいんですが、麻酔医がいないんですよ。
だから、したくても、どうしても無理なんです』

患者『えっ!? じゃぁ外科の手術なんかはどうしてるんですか?
手術してるじゃないですか!』

ドクター『外科は麻酔医がいないので、外科医が麻酔医もしてるんです。
ギリギリの人数で手術してるんです。
でも、うちはどうしても麻酔をする医師がいないので、無理なんです。
大学でしてもらったら、いいと思いますよ。
もう予定は入ってますでしょ?』

患者『早く手術した方がいいと言いながら、数ヶ月も待たされるんです』

ドクター『大学も手術予定が立て込んでますから、もっと待ってる人もいますよ。
あなたの場合、それでも早めに無理やり入れてくれた方だと思います。
納得がいかないなら、もう一度お話をされた方がいいと思いますよ』

患者『どうしてもダメなんですか?
全身麻酔じゃないとダメなんですか?
別に全身麻酔でなくても結構ですけど…』
何が何でも、うちでしてもらいたいらしい。

ドクター『そうですか…う〜ん…いや、やっぱり局所麻酔では、あなたの場合リスクがあるから、全身麻酔の方がいいですよ』

そんな押し問答が続いた末、仮予約だけでもいいから手術の予定を入れてくれと懇願される。
できないって言ってるのに…
なかなか納得して帰って頂けないので、大学に行ってもう一度主治医と相談するという条件付で、形だけ手術の予約を入れる。
でも、できないもんはできないからね。

医師の絶対数が足りてるなら、どうしてこのような事態に?
うち、片田舎でもなく、都会の真ん中だよ。


2009年04月19日(日)
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