蛍桜

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境界線+木の葉は


「君は何も変わっていないね」
と笑いながら言う君に
僕は本当の僕をみてほしいよ。
何も変わってないことないじゃないか。
僕の中の僕はこんなにも成長しているのに。
もっと、中まで見てほしいよ。

だけど勝手に僕の中には踏み込んで来ないでね。
土足であがられちゃ
僕はすぐに泥で汚れてしまうから
今よりも汚くなってしまうから踏み込んで来ないでね。

だけど僕の心と、外の世界との境界線が君に見えるかい?
どこから靴を脱げばいいのか分かるかい?
そんなの、君には分からないよね。
だって君は僕に言ったじゃない。
「君は何も変わっていないね」と。
それは君が僕の境界線が分からない証拠。
それは君が境界線の向こうの僕を見れていない証拠。








木が木の葉を落とし、boyはそれを拾って冠を作った。
木は自分の木の葉を落としながら
これが僕の一部なんだ、と泣いていた。
それでも誰もそれが木の一部なんて認めてくれなくて
木の一部はいつもゴミとして扱われていた。
あぁ、僕の一部はゴミなんだ。だから僕もゴミなんだ。
木はそうやって泣く。
一方、boyは冠をかぶって笑ってみせる。無邪気に笑ってみせる。
まるでその木の葉が自分の物のように、
自分の一部のように、笑ってみせる。
僕はきれいだろ?というように踊ってみせる。

木は泣いていた。
boyは笑っていた。

木が木の葉を持っていると、それはゴミにしかならないけど
boyが木の葉を持っていると、それは宝になった。
木は泣いた。
boyは笑った。
木は嘆いた。
自分の一部のはずなのに、自分でそれを輝かすことはできない。
自分で生み出したもののはずなのに、
それを他人に取られて、そして他人が輝いてみせる。
僕じゃなくて他人が。
そしてまた木は泣き叫んだ。

だから人間なんてきらいなんだ。また嘆いた。
自分の無力さを、自分の才能のなさを、思い知った。


だから私は真似がきらいなんだと、私は言う。
自分の無力さを、自分の才能のなさを思い知るから。

私が吐き出した文章を、他人のものにされちゃたまんない。
まねされちゃたまんない。
私がどんどん磨り減る気がするからね。
それは私が輝いていないという証拠だからね。


寂しいヤツ。






2002年06月13日(木)

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