生き延びたのか、死にそこなったのか、そのへんの判断に迷った。まあ無事だったが。 |
2002年06月24日(月) |
夕方15時になると、たいてい「今日このまま家で過ごすのもなんだから」と 外出する休日があたりまえのようになった。そういう日は決まって空は曇ってたり、 もしくは小雨が降ったりとどんよりとした空模様ばかり。 今日も、商店街に向かう途中で雨がぱらつき始めた。 lomoで撮ったネガパトローネを現像してもらうので、今日は少し足を伸ばして、 136号線へ。ブックオフに寄って、ペーパーバックのミステリーを買う。 厚めの本だけれど、まあ頑張れば今日中に読めるかな。
どんきー行ってコーヒーを飲み、半分くらい本を読みかけて、 出来上がった写真を受け取りにキタムラへ、 それからまたモスバーガーへと写真1人で反省会を行って、 小説も残り半分たっぷり読ませてもらって、満足して帰路についたときのこと。 場所はあえて伏せておく。 雨が降りしきる20時過ぎ、歩道を歩いていると、横を通り過ぎる暗色系の車が ぬっと走り去った。何故こんなにも印象に残っていたのかというと、 とっぷりと夜の帳がおりているにもかかわらず、無灯火で走行していたから。 ライトをつけていたら、さもありなんと気にも止めなかっただろう。 「あぶねぇな」と毒づいた、その直後だ。 一般にいう走り屋がマフラーから出す、あの破裂音のようなものが鼓膜を突いた。 その瞬間は振り向く事はなかったが、何故だろう、 しばらく周囲の音が聞こえなくなったような錯覚を感じた。 砕けたガラスが軋む音でようやく振り返ってその有り様を見た。 車道の中央に、無灯火の破裂音2秒前に私の横を通り過ぎて行った車と、 軽自動車が止まっていた。というより、動けずにいた。 暗色系のその車から、それ程自分と年も変わらないであろう青年が出て来た。 自分が見た今までの事故の場合、相手が助かっていることが 確認できればその場で相手に凄んでみせる(得に若い男性)ので、 これは止めなくちゃいけないと、小走りにその現場へと近付いた。 相手は若い女性だった。青ざめた顔。 よっぽど驚いたのだろう。目を閉じて天を仰ぐような体勢をしていた。 ただ、ここでじっとしていても何もならない。それどころか、 交通量がまだ多い時間帯だから、二次災害が起きる可能性があり危険だと思い、 すぐさま、近くでテレビの向こう側でみているかのような野次馬たちに 「他の車の邪魔になるので、とりあえずよせましょう。手伝ってください」 関わりたくないらしく、しばらくは誰も動かなかった。呆れた。 軽自動車に近寄って車を後ろから押せば動くかどうか尋ねると、 大丈夫です、と言葉短かに答えが返ってきた。 作業服の男達が近寄って来た。ドアをこじあけ、座席を下げてから 運転手をそっと降ろした。その際、ライトを消し、ハザードを代わりに 付けた。これで他の車の往来はスムーズになるだろう。そんなことを しているうちに救急車がやってきた。早いな。 ガラスで切った小さな腕の傷からは、鮮血がぷっくりと浮かび上がっていた。 「あの車、ライトも付けずに来たものだから、気づかなかったんでしょ?」 「え…知らないです…」気が動転しているのか、本当に見えていなかったのか。 どっちにしても安全運転義務違反ではある。 ブレーキ音が聞こえなかったのは、出てくる車の存在に気づかなかったのか、 それともブレーキを踏んだが雨の上に乗ってしまったかどちらかだ。 その目撃者である自分はどうしたらいいのか、迷った。 相手が自白しなければ、軽自動車を運転していた側が圧倒的に不利になる。 救急車の隊員に伝えようとしたが、思い留まってしまった。
めちゃめちゃになった自動車2台が、通り過ぎる車のドライバーに どう映っただろう。
あと2秒、歩くのが遅くて、暗色系の車が中央側ではなく歩道側に ハンドルをきっていたら。命拾いしたのか、はたまた、死にそこなったのか。 とりあえずは生き残ったらしい。
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