思うこと
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2024年09月03日(火) 蒼天抗露(カウナス:杉原館、シャウレイ:十字架の丘)

 3日目のことを記す前、昨夜ツアーバスで夕食からホテルに戻ってきた後のことを書かねばなるまい。

 昨日、スーパー前での中年女事件の後、ホテルとは信号を挟んだ向かいにあるというのに、スーパーには行っていないままだった。

 でも明日の朝はツアーバスでホテルを後にし、もうこのホテルに戻ってくることはない。しかも今日の観光ではどこにもお土産屋に立ち寄らなかったし、何も買わなかった。何としてでも買い物をしなければ。添乗員氏に、ホテルに戻ったらスーパーでの買い物にお付き合いしていただけませんかと申し出た。私も行きたい!と周囲の数人も手を上げた。菓子売り場を見ると、首都ビリニュスの名が記されたチョコレートが目についた。個包装になっていて、ひとつの大きさも職場で配るのにちょうどいい。しかも、30個の個包装がひとつの大箱に収まっている。ほかにもいくつか菓子を買ってレジへ。レジは自分でバーコードセンサーに商品のバーコードを当ててピッとやるセルフレジ方式。

 ここでトラブル発生。先程のビリニュスチョコ、大箱についているバーコードをセンサーに読ませても反応しない。レジ待ちの地元の人々の行列が長くなっていく。きっと、「あの外国人なにモタモタやってんだよ」ってなことを思っているに違いない。添乗員氏に助けを求める。添乗員氏は店員に事の次第を説明し、店員もバーコードを読ませようとするも反応せず。

 おもむろに店員は大箱を開け、個包装についているバーコードを読ませ、レジに×30と打ち込んだ。大箱が開いた状態のビリニュスチョコがかごに入れられ、会計は終わった。バラバラにならないように大箱に密封された状態で日本まで持ち帰りたかったのだが、自分の語学力と、レジ待ちの行列とを考えると、これで良しとするしかなかった。ホテルに帰ってから、雑に開封された大箱ごと大き目のビニール袋に入れて、一個一個がバラバラにならないようにしてスーツケースにしまった。

 さて、翌日。このホテルの朝は昨日と同じバイキング形式だったが、そのことについても書かねばなるまい。

 当然白米なんてものはないが、麦を牛乳で煮たミルク粥があった。これはレストランでの高カロリー高脂肪の食事を中和するのに役立った。それと、日本では見かけない果物に目をひかれた。白い外皮の夕顔のように見えるものは大きな真桑瓜だった。さっぱりと控え目な甘さで、水分補給にもなり良い。茄子くらいの大きさと形の洋梨。どういうわけかどれも形が少しねじれている。まるのままかごに入っているので、食事用のナイフで4つに割り、すいかを食べるようにして外側を残して食べる。その食べ方であっているのかどうかわからないが、味は確かに洋梨だ。りんごは牡丹杏ほどの大きさ。これもまるのままかごに入っているので、農薬など使われていないだろうことを信じつつ皮のままかじって食べる。日本で普段目にするりんごは、どれも品種改良で大きくなりすぎで、本来りんごとはこのくらいの大きさの果物であるらしい。
 
 そういえば日本ではほどんど売られていない「サワークリーム」(脚注3)の入った壺が、ジャムの入った壺とかの隣に置かれていたのでパンに塗って食べた。バターやマーガリンより健康に良さそうな感じ。

 さて、朝食後、荷物をまとめてツアーバスに乗り込み、旧都カウナスを目指す。家々の屋根より高く育った街路樹に囲まれるようにたたずむ住宅街の一角に杉原千畝館があった。入館後すぐに映写室に案内され、15分くらいの紹介ビデオを鑑賞。上映終了後、ここでの土産をリクエストされているのでお土産コーナーに直行。リトアニアのキーホルダー3個、スギハラハウスと彫られた陶製の鈴は手頃な値段だったのですぐ買った。壁に記念Tシャツがかかっているが、ただのプリントTシャツなのに29ユーロ。腕組みをしてしばらく迷うが、同じく20ユーロ近い価格のマイバッグ(買い物袋)とともに購入。買い終わったらもうバスの時間ぎりぎりで、展示を閲覧する余裕はなくなっていた。そして、入れ替わるように別の日本人観光客の団体がやってきた。他社のツアーで、8日間という日程も、帰国予定の日時も同じとのこと。彼等とはその後も何度か顔を合わせることになる。

 その後、カウナス市街観光。キリスト教伝来以前の自然崇拝の寺院との説明の煉瓦造りの建物。一見教会のような建築だが、屋根の上に十字架はなく、細部の装飾が見馴れない造りとなっている。

 これも建物の中までは入らないが中世のお城「カウナス城」を見学。現在では窪地となっているお濠の芝生を、芝刈りドローンが行き来しているのが印象的だった。そしてカウナス大聖堂。これは中まで見学。一応写真は撮った。その後ツアーで予約済みのレストランへ。

 ここの名物はじゃがいも団子。団子と言っても形はぎょうざに近い。生を摺りおろしたじゃがいもに恐らくは小麦粉を加えて練ったもので挽き肉を包んだ代物。まさかの冷製ボルシチの前菜の後にこれが出た。皿の上には2個しか載っていないのだが、これがものすごく腹にたまる。食後バスに戻ったら、他のツアー客から、「よく完食しましたね。完食したのあなただけでしたよ」と言われた。味は悪くなかった。ただ、ツアー客の中にはじゃがいものカロリー爆弾ぶりに参っている高齢者もいる。

 そしてバスは抗露の聖地シャウレイへと向かう。車窓に映るのは畑、針葉樹と白樺の混じった林、そして日本だけの問題ではなかった耕作放棄地。人家はほどんどない。2時間平原を突っ走って聖地シャウレイ到着。駐車場に面してお土産屋があり、まずここで木製の十字架を買う。(別に買う義務はない)買うと店主がサインペンを手渡そうとする。願い事を十字架に記すために。「ノーセンキュー。アイハブアペン!」持参したサインペンで日本語と英語で縦と横に「ウクライナ勝利!」と書きにっこり笑って店主に見せつける。店主も笑顔。中学の英語で真っ先に習う「アイハブアペン」、実際に使う場面などないとしばしばこき下ろされるが、ここでは見事に役に立った。アーチをくぐり、世界遺産「十字架の丘」へ。ほどよく近づいたところで一礼し、「ウクライナに勝利を!」と願う。丘は想像していたより小ぶり。先程購入した十字架を丘の隅の地面に突き刺し、再度祈る。そして写真を撮りつつ丘の頂上まで行って戻る。滞在時間は長くない。最後にもう一度丘に向かってウクライナに勝利をと願い丘を後にする。

 バスはまたしても人家のほとんどない畑、牧草地、耕作放棄地、針葉樹と白樺の林を突き進み、やがてラトビアとの国境に辿り着く。昔の国境検問は廃墟となっており、その脇のドライブインでバスを降りて休憩。ここで立ち寄ったトイレに備え付けのトイレットペーパーが面白かった。壁に対して平行の向きにペーパーが取り付けられており、更に小さな穴からペーパーを取り出す造りになっていた。

 その後もバスはほとんど人家のない畑、牧草地、耕作放棄地、林を走り抜け、人家が増えてきたなと感じてから30分ほど走って首都リガのホテルに到着。ホテルで夕食。夕食そのものはツアーに含まれているが、例によって酒は別払い。5ユーロのビールをカウンターで頼み、ツアー参加者と乾杯。就寝。


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