蜜白玉のひとりごと
もくじ|かこ|みらい
日曜日から水曜日まで実家。今回はいつもより1日長い。いったん帰って週末また実家なので、自分の家にも職場にもほとんどいないことになる。状況が許さないし、言っても仕方ないとはいえ、自分はいったいどこへ向かって何をしているのだろうと、途方にくれたような気分になるときがある。
他人からはよく、施設(特養とか老人ホームとか)に入れちゃえばいいじゃん、と言われたり、なんで入院しないの?、と不思議がられたりする。おっしゃるとおりで、もちろんそれができればとっくにそうしている。父の場合は選択の余地なく在宅介護せざるを得ないのだ。最期は自宅で、とかそういう希望があるような類の在宅介護とは異なる。
父は特殊な病気ゆえに、施設の入所はできない。この病気の人はだめ、とあっさり切られる。仮に入所している人がいたとしても、その施設内でこの病気は定員1名とか、以前はよかった(入所している人はいる)けど今はとっていない、とか、要するにいちいち医療的に手がかかって大変なので入所できるところはないに等しい。入所どころか、施設が提供するショートステイやデイサービスも対象外だ。
もうひとつの入院の話だが、今かかっている病院からは、この病気の人の長期入院はとってません、とこれまたばっさり切り捨てられた。家庭の事情とか本人の希望とかは一切関係ない。あるのはいつ予約が取れるかわからないレスパイト入院(介護者の休憩のための入院、通常2〜4週間)のみだ。
これはこの病院だけの話ではなくて、国の方針で、長期入院を減らして家に帰す方向で動かされているのだ。もう何十年も昔から入院している人は仕方ないから入院させているけれど、今後は長期入院は一切とらないことになっている、その一点張りである。そうかい、そうかい。何をしても無駄な治らない病気の人は家で勝手にやってくれ、そういう風に聞こえる。家で看るのがどれだけ大変か、ということは全く加味されていない。
簡単に言えばそういうわけで、頼るところがないのである。助けてくれるのは訪問看護ステーションの看護師さんと、訪問入浴サービス(週2回)と、近所の開業医の往診(月2回)だ。ヘルパーさんは今は入れていない。厳密に言えば、家に介護者がいるのでヘルパーさんは入れられない。
昨年無理を言ってお願いしてヘルパーさんに来てもらっていたときのこと。ヘルパーさんは1回1時間と決まっていて、来てくれる人も毎回バラバラで、そのたびにつきっきりで説明するのは結構疲れた。人によって覚えもやり方も違い、当然のことながら相性もある。このあたりのヘルパーさんはわりと年配の方が多く、両親より年上の人に頼むというのもなんとなく気持ちのいいものではない。毎日毎日、見知らぬ人が入れ替わり立ち代わりやってきてはひっくり返していくのでは、気の休まる暇がない。何のためにヘルパーさんを頼んでいるのか、これなら自分でやった方がましなんじゃないのか。だんだんそう思えてくるのである。
今日はすっかり愚痴になった。制度の隙間に落っこちるとこうなるということだ。この病気に限らず、病気そのものの苦以外のくるしみを背負わされている人はたくさんいると思う。本人もその家族も日々なんとか耐えて、グッと口を横に結んで暮らしていくうちに、新たな病気にかかったり、退職したり、離婚したり、せざるを得なくなった人もいる。まったく他人事ではない。
私はできることならば腐らず乗り越えたい。
|