蜜白玉のひとりごと
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この前の川上未映子の話といい、文藝春秋ネタが続く。文藝春秋2009年4月号(3月10日発売)に村上春樹のエルサレム賞受賞をめぐるインタビューと受賞スピーチ「壁と卵」の全文が掲載される。強い壁と弱い卵があったら、僕はいつでも卵の方につく、たとえ卵が間違っていたとしても、という(うろ覚えだけど)あのスピーチは「壁と卵」というのか。かっこよかったと思う。言葉で仕事をする人のあれが本当の力で、たまたま目に見える形になったのがあの場面だった。
井上荒野『あなたの獣』はあと少しで読み終わる。この頃は小説を読む合間にときどき漫画も読む。今は安野モヨコ『働きマン』を読んでいる。相方が1冊105円で買ってきた。読むものには特にこだわりはなくて、興味深くてすいすい読めればなんでもよくて、もし読みにくかったらそこでやめればいいだけのことだ。小説のようにねじ伏せてでも読みたいとは思わない。
子どもの頃、気がつけば我が家は漫画禁止だった。そのせいか未だに漫画と素直に接することができない。読んではいけないもの、読む価値のないもの、そう言われ続けてきたので、漫画を読んでだらだらしていることを大人になった今でもどこか後ろめたく思っている。漫画は単純に楽しいし、気力体力が失せているときでも読めるし、小説やエッセイとは別にこれはこれでなくてはならないものだと思う。読む価値のないものだとは全然思わないし、もう大人だから堂々と読んでいいし、別に大人でなくたって好きなら読めばいいのに、なぜか薄っすらとした後ろめたさは消えることがない。
付き合いはじめた頃(だけじゃなく今でもか)、相方の物知りにいちいち驚き、なんでそんなこと知ってるの?と聞くとたいていは、漫画、という返事だった。漫画にはそんなことも書いてあるのか。それとも私の方が物を知らなさ過ぎるのか。全くと言っていいほど漫画を読まなかった私には不思議でならなかった。今はときどき相方のを借りて読む。でも私は雑学王にはなれない。
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文藝春秋2009年4月号 村上春樹 独占インタビュー&受賞スピーチ 「僕はなぜエルサレムに行ったのか」
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