蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2008年12月11日(木) それはもうまったくそのとおりで

伊藤比呂美著『女の絶望』あと1節とあとがきを残すのみ。タイトルには女の、とあるが女に限らない悩みの数々に対して、伊藤比呂美ならぬ海千山千の「しろみさん(江戸弁)」が自らの体験をもとにすがすがしいまでのあけっぴろげさで答えるエッセイ?フィクション?実用書?いつものように形態不明のテンポのいい文章。

男女のドロドロした話の先に、私が聞きたいようなことも書いてあった。夫婦のこと、それも自分たちのようなのではなくて、何十年連れ添った夫婦のこと、それから介護のこと、あとは老いや孤独、・・・挙げだしたらきりがない。今、四六時中、私の頭から離れないのはそれらのこと。

自分の都合じゃなくて他人の都合に思い悩んでるってことに気がついて力が抜ける。とんだお笑い草だ。他人のことで悩むなんてバカみたいだとも思う。でも「自分」ではない「他人」とは言え「親」のことだから放っておけるわけもなく、やっぱり気になって、病気そのものはともかく、人間関係がもうこれ以上ひどくならないようにと、不毛なこととは知りながらもついあれこれと思い悩んでしまうのだ。

似たような話にきっぱりとしろみさんが答えてくれていた。なんだそうか、やっぱり私の手には負えないのだな、と観念した。夫婦のことはその二人にしかわからないことで、いくら年をとっても子どもとの間には深い深い溝がある。話し合え、と助言したところで無駄だったのかもしれない。しろみさんが言うには「話し合えないからこそ夫婦」だ、なんて聞きたくなかったが、それならもうこの際仕方ない。自分は自分で、少なくとも自分のところだけはそうなるまいとしっかり踏みとどまってやっていくよりなかろうよ。

以下、補足付きで覚えておきたい言葉。

(基本そのいち、)あたしはあたし

(基本そのに、)人は人

(基本を実行するには、)あたしはあたし、あたしはあたしが好きで大切、そこまでいかないと、人は人とは思えない

(しんどいようなことも)辛いと思うな、おもしろいと思え

(不倫とか離婚とか介護とか、まあいろんな状況にあてはまるだろうけれども、どんなに変わってほしいと思ったところで)他人は変えられないから、自分を変える

(極めつけ、)あたしはあたし、死ぬときゃ一人

ええ、それはもうまったくそのとおりで。ぐるぐる考えて行き詰ってつらくなったらまた読むことにする。


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