蜜白玉のひとりごと
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| 2006年11月08日(水) |
ちょっと高度な仕返し |
床暖のタイマーを仕掛けておいて正解だった。天気予報どおり、今朝はしんと冷える。温かいコーンスープがおいしい。
昨日までの怒りは胸の奥の方で、クシャクシャに丸めて放った紙クズみたいになっている。すっかり消えてなくなったわけではないけれど、ずいぶん軽くなった。もうたいしたことはない。朝、玄関を出たところでばったり会ってしまった。会いたくはなかったが玄関の前を毎朝うろうろしているので、顔を合わせずに出勤するのは至難の業だ。会ってしまったら仕方がないので、これ以上ないくらいの爽やかさで、おはよーございまーす、と挨拶をして歩き出す。言われた相手は明らかにぎょっとしていた。驚いた顔のままボソボソと挨拶を返された。
勝った。
どんなにいやな相手でも、とにかく挨拶だけはするに限る。陰で悪口を言われていても、無視されていても、のけ者にされていても、嫌われていても。何であれ、会ったらできるだけふつうに挨拶する。誰のためでもない、自分のために。自分を守るために。
険悪な仲のはずの相手からさらりと挨拶されたらたいていは、何だこいつ?とキョトンとなる。狙いはそこだ。相手の不意をついて混乱させ、こちらの挨拶に対してとっさにうまく返事ができなかったり、挨拶しそびれたりする。それをじわじわと後悔させる。なんとなくもやもやした気持ちが残るに違いない。これはちょっと高度な仕返しのつもり。決して八方美人だから挨拶するわけではないのだ。
冬のはじまりの空はきりっとどこまでも青く、ずっと眺めていたいくらい。仕事場に少し早く着いたので、外のベンチに座ってカフェラテを飲む。見上げていたら、呆けてしまいそうな空だ。
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