蜜白玉のひとりごと
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うちの台所には窓があって、窓の外はすぐ隣のマンションの壁が迫っている。窓と壁との間にはさらに1枚のブロック塀がある。ブロック塀はマンションが建つずっと前からそこにあって(たぶんうちの塀)、ちょうど窓の高さになっている。ちなみに、ブロック塀とマンションの壁とのほんの数10センチのすき間には、マンション側が植えたひょろひょろとした葉っぱばかりの木が数本植わっている。そんな有り様なので、当然人は通れない。誰も通らないと思って油断していると、ときどきノラ猫がブロック塀の上をすたすた歩いていく。
野菜を刻んだり食器を洗ったりしていると、気配がしてふっと顔を上げる。すると、細く開けた窓のすき間からじっとこちらの様子をうかがうノラ猫がいる。誰もいないと思っているから、毎回いちいち驚く。そして数秒後、なんだ、お前か、と気が抜ける。
よく来る茶トラの猫は、うちに小鳥がいるのを知っていて、なんとかして獲物をしとめようと、網戸の向こうでじっと狙っている。ブロック塀にちんまり座って、金色の目でこっちを見ている。話しかけてもうんともニャーとも返事をしない。窓を閉めようとしたら、シャーッ!と威嚇の声を出すので、こちらも負けずにシャーッ!と返事した。
バサバサドサドサいう音とともに窓の向こう、黒いかたまりが降ってきたこともある。最初なんだかわからなかったが、どうやら猫が落ちたようだった。いったいどこから落ちたのか、なんだってまた落ちるようなことになったのか。ドサドサのあと、ニャ〜アという困ったような声を残して急いで逃げて行った。
この前は猫ではなくてヤモリがいた。頭からしっぽまで10センチ以上の大きなヤモリが窓にぺたりと張り付いていた。向こう側にいるので、ヤモリの裏側がまる見えだ。窓ガラス越しにヤモリののどの部分をひとさし指でなぞる。白くて、ひんやりとしている(感じがした)。
図書館で高山なおみさんの料理本を2冊借りる。『野菜だより:季節のいきおいを丸ごとたべる』と『うちの玄米ごはん』。うちも9月から玄米にしたので、何か参考になるかと思って。
11月はのんびり行こう。たぶん1年のうちで、いちばん何もないのっぺりとしたひと月。
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