蜜白玉のひとりごと
もくじ|かこ|みらい
夕方からいとこの結婚式。いとこと私は1ヶ月違いで生まれた女の子で、そのため小さい頃から何かにつけ比べられてきた。両親はそんなことはしなかったけれど、周りが放っておかなかった。背の高さはもちろん、学校の成績や習い事の成果、その他比べられるものなら何でも。祖父母が学校の先生だったことも手伝って、お盆や正月に親戚が集まると必ずそういう話題になった。帰省は億劫だったし、気が弱い私は必ずと言っていいほど緊張してお腹を壊した。褒められても励まされても慰められても、居心地が悪かった。そんなこんなで、いとこが悪いわけでもないのに、彼女とは大人になるまであまり親しくできなかった。同い年だけに自然と仲良くなれていたら、楽しかったのかもしれないなあ、とかなわなかったことを考えてみたりすることもある。今でも特に親しいわけではないけれど、会ったときにはニコニコとお互いの近況を話すくらいにはなった。
そんないとこの結婚式だ。私は単なる招待客として気楽に、自分の好きなようにおしゃれをして出かけた。私は2年半前に結婚したけれど、結婚式はしなかったので、式については比べようがない。誰も「あなたも式を挙げなさい」とか「やったらよかったのに」とは口にしなかった。よかった。せいせいした。
庭のついたレストランでの式だった。だんだんに日が暮れていくなか、庭で風に吹かれながらの教会式は少し肌寒く、段取りをあまり覚えていない新郎の様子に、ときどき小さな笑いが起こった。すっかり暗くなった頃、レストランに移り披露宴がはじまった。かなりのスピードで次々と出てくる料理を平らげながら、他の招待客を観察したり、ひさしぶりに会った親戚ととりとめのない話をする。結婚式の常として、花嫁とゆっくり言葉を交わす時間はなかった。親族で写真を撮るときや新郎新婦がテーブルに回ってきたときに、おめでとうと言ったり、きれいだねと言ったりした。帰り際には、お疲れ様と声をかけた。
もういい加減大人なんだし、これからは比べっこなしがいい。ああでも、子どもが同学年になっちゃったりするとまたやっかいなんだろうなあ、とも思った。
|