蜜白玉のひとりごと
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午前中で仕事を終えて、お昼も食べずに美容院へ。ようやく鎖骨くらいまで伸びた髪は、毎日あっちにハネこっちにハネ、収拾がつかないのでいっそのことと思い、パーマをかける。夏に長い髪は暑かろう、と思われるけれどそれがそうでもなくて、おろしていれば首の後ろは焼けないし、結んでしまえば中途半端なボブよりもずっと涼しい。
美容院で、大学時代にフランス語のクラスで一緒だったFさんにばったり会う。もともとこの美容院もFさんに紹介してもらったのだ。会うのは6〜7年ぶりだ。美容師さんづてにときどき近況を聞くくらいで、特に連絡を取ったりすることもなく、だいたい語学のクラスが終了してからは疎遠になっていて、もう連絡先すら知らない。
わあひさしぶり。元気?と言ったあと、会話が続かない。会わない時間が長過ぎて、いったいどこから話せばいいのか。空白を埋めようとするのが滑稽に感じられるくらい、今は別々の時間なのだ。おまけに二人ともパーマをかけるべく頭にいろいろつけているので、顔を横に向けることもできず、何か話そうかな、でも何から話せばいいんだろう、こっちからあれこれ訊いちゃ失礼か?と迷っているうちに、私のほうが先に出来上がってしまい、あまりしゃべれなかったね、じゃあまた、元気でね、と言ってすごすごと帰ってきてしまった。
某出版社で女性誌の編集をしているらしい彼女は、その職業柄想像される派手さはあまりなく、学生の頃のおっとりとした雰囲気がまだほんのりと残っていた。変わったのは髪形くらいで、昔は少年のようなショートカットだったのが、今では背中の真ん中まで長く伸びて、それだけがなんだか別人のように浮いて見えた。
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