蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2005年07月08日(金) それはやっぱり愛すべき生活

遅ればせながら、区の図書館が進化する。ついにインターネットで予約ができるようになったので、喜々として4冊予約してみると、さっそく昨日の夕方、予約した本が1冊入ったよ、と携帯電話にメールが来る。図書館とメル友にでもなったような親しい気分だ。

中島京子著『さようなら、コタツ』『イトウの恋』、中島たい子著『漢方小説』を読む。

昨年末に中島京子著『FUTON』を読んで以来、待ちに待った新作。短編集の『さようなら、コタツ』は秀逸。著者の温かくユーモアに満ちたまなざしが感じられる作品で、私はこの人のこういうところが好きなんだ、と再認識する。たとえどんなにしょぼくて、かっこいいところなんてどこにも見当たらない毎日でも、それはその人にとってかけがえのない人生の一部であり、本人が絶望のどん底に居てそのことに全く気づいていなくても、それはやっぱり愛すべき生活なのだ。登場人物の置かれた状況と自分が全く重ならなくても、よし私もがんばろう、と気合さえ入る1冊。それに比べて長編の『イトウの恋』はまどろっこしい。

漢方薬を飲み始めてもうすぐ1年がたつ。健康診断では総合評価の欄にせいぜい「やせぎみ」と書かれるだけで特に問題はないはずなのに、どこか病気なんじゃないかと疑いたくなるくらいあっちこっち具合が悪くて、漢方なら何とかなるかもしれないと思ったのが事の始まり。当時はほぼ毎日のように胃痛、頭痛、めまい、たちくらみ、ひざの関節の痛み、体がふるえて力の入らない感じがしていた。風邪をひきやすく、冷え性で、油断すると夏でも冬でも皮膚が冷蔵庫で冷やしたようにつめたい。冷えてトイレが近くなるのも困る。

治療をはじめてからは、だいたいひと月に1回病院へ行き、最近の様子を話し、舌の表裏、両手の脈、横になってお腹のあちこちを押して痛みがあるかどうかを探る。血圧も測る。そして、今飲んでいる漢方薬を続けるか、別のものに切り替えるかを考える。診療中はとにかく先生とよく話をする。できる限り詳しく自分の体調を知ってもらうために、多くの情報を伝える。先生と気が合うのも心強い。きちんとこちらの意図が通じている感じがする。

漢方は何回か切り替わって、今のは5種類めだ。半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)という、主にめまい、頭痛、頭重、食欲不振、悪心、嘔吐、足の冷えなどの症状に効くもので、これがまた苦い!顆粒のものをお湯にといて飲む。においも味もきついけれど、何回か飲んでいるうちに心地よい苦さになってくるから不思議だ。良薬は口に苦し、効きそうな気がする。

そんな漢方漬けの毎日を送る私に『漢方小説』が楽しくないわけがなく、そうなのよ!とひどく共感しながら読む。1年前に感じていた不調は全て今もあるけれど、そのどれもが薄められて軽くなっているのは確かだ。じっくり体と向き合って治していく漢方薬は私にとても合っていると、安心感すら覚える。


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