蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2005年02月17日(木) マロは眼鏡をかけられない

仕事は臨時休業。日帰りで実家へ。マロの目が悪くなってきていること、そして脳に障害があるかもしれないことを電話で聞いたのが気になり、マロはもちろん、それを知ってショックを受けているであろう母の様子を見に行く。夜のうちに焼いておいたチョコレートパウンドケーキはおみやげに。

行くと、母とマロだけでなく父も家に居た。週末の慣れない野良仕事でヘルニアになったという。みんなそろってガタガタだ。お昼ごはんに焼きそばを食べ、お茶を飲みながら何とはなしに母としゃべる。父は和室で横になっている。遠くに見えるはずの青い海が、今日はどんより曇っていて、薄灰色の空と海の境がわからない。予報では晴れると言っていたのに、ほとんど日がささず寒い。

マロの目は黒目が白く濁り、白目の部分が赤い。さかんにまばたきをしたり、前足を目のあたりにやったりする。しょぼしょぼした目は痛々しい。右目が特にひどい。獣医さんの話によると、視力が落ちているせいで、物にぶつかったり、ホコリや何かが目に入りやすく、角膜に傷がついている。手術もできるけれど、それでよくなる保証はない、ということだ。今はこれ以上傷がつかないように、目を保護し栄養を与えるための目薬と軟膏を処方してもらっている。父と母は手術はせずに、このままでいくと決めたようだ。当然、全身麻酔になる手術の体力的および精神的な負担を考えれば、それでいいと思う。

マロの頭については精密検査をしたわけではないので、詳しいことはわからない。ただ、マロがいつも下を向いていてあまり顔を上げないことや、意味もなく同じところをぐるぐる回ったりすることから、獣医さんがそう言ったのだ。脳に障害のある疑いがある、と。

仮にそうだとしても、私たちが今までそれを知らなかっただけで、マロはその診断の前も後も何も変わらない。マロはマロだ。その話を聞いたとき、ショックを受けて不覚にも涙がこぼれた。でも今はマロの行動の全てに納得がいく。もう無理強いしなくてもいいのだ。もともとそれほど厳しくはしていなかったけれど、犬とはかくあるべき、なんていう押し付けはもうマロには無用で、マロはマロらしく、みんなと楽しく暮らしていけばいい。それに目だって全然見えないわけではない。マロは玄関まで迎えに来たし、ボール遊びもできるし、散歩ものろのろ歩きだけどできる。犬は眼鏡をかけられないかわりに鼻がきく。

帰る頃には霧雨が降る。行き帰りの電車では『ウェイクフィールド/ウェイクフィールドの妻』を読む。特急の浮遊感と柔らかな揺れによる強烈な睡魔に襲われ、ほとんど読み進まない。


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