蜜白玉のひとりごと
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| 2005年01月19日(水) |
おうちごはん/『対岸の彼女』 |
昨夜からあぶら汗の出るような腹痛。吐き気もするので仕事を休む。職場に「休みます」の電話をしてから午前中は死んだように眠る。昼頃、背中の激痛で目が覚める。寝返りも満足に打てない。この何週間かずっと腰が痛かったのをなんとなくほったらかしにしていたのがいけなかったのか。寝ぼけた頭で思い至り、痛みが通り過ぎるのを待つ。
そろりと起き上がって、漢方を飲み、腰にカイロを貼る。ちょっと前かがみで腰をさする。まるでバアサンだ。情けない気もするが仕方ない。腹痛は治まった。午後からは家事をすると決めていたので、ふとんをたたみ、1階と2階に掃除機をかけ、ポリタンクをコロコロ(折りたたみキャリー)にくくりつけて灯油を買いに行き、いったん帰って玄関に灯油を置いて、銀行のATMを2つハシゴして、クリーニング屋へ寄り、スーパーへ行き、米5キロ、じゃがいも、バナナ、野菜ジュース、えのき、しめじ、ピーマン、挽肉、あんかけかた焼きそばなどを買う。右腕にクリーニングと米5キロ、左腕にそれ以外の食材が入ったスーパーの袋を2つかけ、歩道橋をわたる。腰が悲鳴をあげそうだ。無理しないでやっぱり寝ていればよかっただろうか。でももうお米もないし、灯油も残り少ないし、今週の土曜日は「出」だし、日曜は雨だし・・・。そんな考えが頭をよぎる。主婦はたくましくなきゃやってらんない。
結局、買い出しに1時間半も費やす。帰ってから食材を冷蔵庫にしまい、続いて晩ごはんの支度にとりかかる。さといもの下ゆでをし、ほうれん草をレンジにかけ、水にさらしてあく抜きをし、お米を研いで炊飯器にセットし、玉ねぎを炒めてハンバーグのタネをこねる。調子が悪いのなら寝てればいいものを、と自分にあきれながらも、休みの日くらいしかちゃんとできないから、と思ってついこまねずみのようにくるくると動く。
自分でこねたやわらくて香ばしいハンバーグが食べたいし、お惣菜コーナーの煮物じゃなくて自分で煮たさといもが食べたい。ただそれだけのことなのだ。冷凍食品もお惣菜も悪者ではないけれど、疲れているときこそおうちのごはんが食べたい。おうちのごはんと言えば、以前はもっぱら母の作るごはんを指していたけれど、今は自分だからがんばって作る。
夜寝る前、30分ほど本を読む。角田光代『対岸の彼女』を読み終える。彼女の作品はいつもどこか荒削りな印象があったけれど、この作品に関しては別だ。とてもよく磨かれている。丁寧に作りこまれた作品は、まるでだいじに育てられた子どものように、作者の愛情を感じる。はじめの数ページを読み、すいすいと無理なく流れる文章に、うまくなったなあ、とおこがましいけれどもうなってしまった。ムカつく女、戸惑う女、行きづまる女。負の要素を抱えた女を書かせたら天下一品だ。
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