蜜白玉のひとりごと
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| 2005年01月16日(日) |
横目でちらちら/『ウエハースの椅子』 |
ごろんと寝そべって、横目でちらちらと日曜洋画劇場「オーシャンズ11」を見ながら、『ウエハースの椅子』の続きを読む。
「私」は絵を描いて生計を立てている。ごたごたのベランダ。訪ねてくる恋人。中庭の野良猫たち。絶望はときどきやって来て、親しげな態度で近寄り、「私」の気に障ることを言って、また帰っていく。そうだ、こんな話だった。
何度読んでも忘れてしまう。この記憶力のなさはどうだろう。喜んでいいのか、それとも反省すべきなのか。読んでいる間は息をするのも忘れるくらい熱心に、物語世界にどっぷり浸かっているのに、話が終わるとすーっと冷めて、何事もなかったような感じがする。しばらくするともう、誰が出てきてどんなことが起こるのだったか、すっかり忘れている。さすがに『流しのしたの骨』くらいに何度も読み返していれば、ひととおり覚えるが、一度読んだぐらいではまず無理だ。再読に適した頭とも言える。
『ウエハースの椅子』で、「私」は行き止まりまで行くと、恋人とともに「くるっとまわれ右」をしていた。なんだ、やっぱりまわれ右するんだ。あのラストを「まわれ右」と取るかどうかは人それぞれだと思うけれど、少なくとも、あれは私にとっての「まわれ右」のうちのひとつだ。
読み終わり、残りの1時間くらいは映画に集中する。娯楽映画を見るのはひさしぶりだ。単純に楽しい。何も考えないでいい気楽さ。ブラッド・ピットのかっこ良さは今もって全然わからない。
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