蜜白玉のひとりごと
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散歩のついでに、遅ればせながら近くの神社へ初詣に行く。威勢良くパンパンと拍手を打てば、静かな境内によく響く。私たちのほかには誰もいない。おみくじ百円。運勢末吉。すこしずつ運がひらけます。あせってはいけません。迷ったりして事をかまえると失敗します。時期を見なさい。落ち着くことです。焦るな、落ち着け、と心に刻む。まあ、普通ってことだよ、と横からのぞいていた相方が言う。その通りだ。末吉は取り立てていいというわけでもなければ、ものすごく悪いというわけでもない。その力の抜けっぷりが妙にうれしい。
年末のお休みから、冷えとりに本腰を入れている。ここ数年、とにかく風邪をひきやすい。高校生の頃から気になり始めた冷え性もどんどんひどくなり、今では季節に関係なく手足がつめたい。トイレが近いのも大問題だ。9月から漢方薬を処方してもらっているのだが、すぐに変化が現れるわけではないので、まだ効いているのかいないのかいまいちわからない。いつも頭の端っこで、何かいい方法ないかなあ、何とかしたいなあ、と思っている。そんな折、ふくう食堂で『ずぼらな青木さんの冷えとり毎日』が紹介されていた。これは読んでおかなければ、と思い年末のあわただしい時期に買って読んだ。
帯より。 ------------ 冷え。あれこれやって本当に効いたこと。著者が10年間あーだこーだと試し、本もいっぱい読みあさって、つかみとった、まじめで笑える「冷えの克服記」。ちょいとへんで、かわいい「冷え」との戦いぶりから、何が効いて何が効かなかったのかまで、全部公開しちゃいます!効いたのはくつ下4枚!の重ねばき!! ------------
くつ下4枚!である。キツそうだ、ゴムのあとくっきりになるんじゃ・・・と思ってぱらぱらめくって見ると、ちゃんと重ねばき用のゆるいくつ下があるようだ(もしくは少し大きめのを選ぶ)。そして絹→綿→絹→綿の順に重ねるのが基本。絹は毒素を吸収する力が繊維の中でいちばん強いらしい。毒素。ふーん。はじめは半信半疑だったが、途中からは食い入るようにして読む。なぜなら著者の具合が悪かった頃から冷えとりに取り組むまでの道のりが、今の私とあまりにも似ていたからである。それ、まさに私。やっと、見つけたかもしれない。治るかもしれない。そう思った。
思い立ったが吉日。今すぐに絹くつ下をはきたい。本には通販も紹介されていたけれど、届くまでに1ヶ月近くかかるというので待ちきれず、新宿へ絹の5本指くつ下を探しに行った。どうにか絹84%のくつ下を見つけ、あとは綿の5本指くつ下と毛のくつ下も買う。
重ねばきは実際やってみると、とても気持ちいい。絹の5本指はかなりぜいたくな気分だ。今のところは4枚ではなくて、靴がはけるように「絹5本指→毛」の2枚重ね、もしくは「絹5本指→綿5本指→毛」の3枚重ねにしている。この辺りは臨機応変に、無理なく続けられる方法で。この考え方も青木さんの本から得たもの。
「くつ下重ねばき」の他にも、本にはいくつかの冷えとり方法が紹介されている。「身につけるものは天然繊維にする」「頭寒足熱を徹底、下半身を冷やさないように」「体を温める食べ物をとる」など。でもこの本を読んでみていちばんうれしかったのは、そういう方法よりも、青木さんの冷えとりに対するほわんと力の抜けた考え方、捉え方だ。そして、ときどき失敗したりうまくいかなかったり怠けたりしても、続けていけば、いつかそのうち治るということがわかった。青木さんの場合がそのまま私に当てはまるかどうかはわからない。でも冷えや、そこからくる体のさまざまな不調を少しは改善できる気がする。その可能性はある。
これを読んだ年末のお休みあたりから、毎日くつ下を重ねてはいている。半身浴も湯温計を買ってきて楽しんでやっている。前みたいに、ただ心配したり不安に思ったりするだけではない。きっとよくなると信じてできる対策があると不思議と安心できる。あ、冷えてきたな、と気づいても、もう心細くはならない。
朝、嬉々として5本指くつ下をはく私を、相方はおもしろそうにじっと見ている。はじめは相方の反応が心配だったけれど、説明するとすんなり受け入れてくれた。この頃は、くつ下はいた?と確かめるくらいだ。こうして理解のある相方のおかげで、私の毎日には5本指くつ下とか湯たんぽとか腹まきとか、一見ダサいが冷え性にはありがたい物たちが活躍している。
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青木美詠子さんのHP 「あおきみノート」 いいことば、アリマス。
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