蜜白玉のひとりごと
もくじ|かこ|みらい
裏口のあれは山茶花ではなくて椿だ。気づくと小ぶりのピンク色の花が2つ咲いていて、どう見てもそれは山茶花でない。どうりで隣の庭より開花が遅いわけだ。椿の花は半日陰の植え込みで上品にひっそり咲いている。それにしても山茶花と椿の葉っぱはよく似ている。花がなければ見分けるのは難しい。
いよいよ12月。激動の一年も残すところあとひと月になった。毎年この時期になると、月日が経つのは本当に早いなと思うのだけれど、今年は飛びぬけて早い。
昨晩のカップケーキはちょっと失敗。思ったより甘くなってしまった。疲れているときに作ると集中力が足りないからか、あまりうまくいかない。バナナとクリスマスプレザーブの甘味を計算に入れたつもりが、そうでもなかったようだ。今度はもっと砂糖を減らそう。
島本理生『生まれる森』は案外おもしろい。若くてもこういうふうに書けるのだなと感心しながら読む。ありがちな勢いやノリで読ませようとしていないところが気に入った。再読に耐えられそうな物語、たぶん信頼してもいいはずだ。
恋の後始末はとても難しい。ふる方もふられる方もたいへんなエネルギーが要る。ずっと忘れていたその感覚を『生まれる森』を読んでいて思い出した。野田ちゃんもサイトウさんも痛々しいことこの上ない。知ってて傷つけるのと、知らないで傷つくのと、どちらがつらいのだろう。私にわかるのはとにかくどちらもひどく消耗するということだけだ。視界がぼやけ、空気は薄くなり、耳鳴りがする。こんなところへ来るつもりじゃなかった。どこで道を間違えたのだろう。そう思いながらも、やり直しは不可能とどこか冷めた頭で知っていた。相手は頑なで、それと同じかそれ以上に私も頑なだった。ずいぶん痛いところをついてくる小説だ。
昨日借りた3冊のうちの残りの2冊は読んでみると数ページでうんざりしたので読むのをやめた。本は好きだしたくさん読みたいけれど、なんでもいいというわけではない。おぞましいのやら気持ち悪いのやら、他人を茶化してへらへら笑っているのはごめんだ。あちらこちらで、おもしろい、すばらしい、ぜひ読めと紹介されていても、付き合えないものもある。
|