蜜白玉のひとりごと
もくじ|かこ|みらい
角田光代『太陽と毒ぐも』読了。童話『太陽と北風』みたいなタイトルをつけたかったという作者。どのあたりが「太陽」で、どのあたりが「毒ぐも」なのかときどき考えながら読む。この場合、「毒ぐも」の「くも」は「蜘蛛」ではなくて「雲」らしい。
玉石混交の短編集。あーあ・・・。ものすごい徒労感、思わずため息をついてしまう。登場人物はほとんどが20〜30代の若者で、置かれた立場の違いこそあれ、そろいもそろってみんなひどく刹那的な生き方をしている。こんなにさびしい世の中だったっけ?と疑いたくなるほどだ。それとも私が知らないだけで、今時の若者はこんな空っぽな感じで生きているのだろうか(私は年齢のわりに古風というか古典的というか保守的なので、いわゆる今時の若者とはあまり縁がない。そのせいか知らないが、他人からは必ず実年齢よりも上に見られ、年齢不詳だの年を偽っているだの言われる)。
上るのは大変、落ちるのはあっという間。がんばっているつもりでもいつの間にかずるずる落ちていく。せめて、真っ逆さまに落っこちないように、踏みとどまる。
今日はごはんを作らなくていい。ときどきむしょうに食べたくなる「ねぎ焼きと焼きうどん」のセットを買って帰宅。マカディアをロックで飲む。パッと食べ終えて近所の図書館へ。7時の閉館前にすべりこみ、いそいでリクエストカードを書く。4冊お取り寄せ。それからざっと書架を見て3冊借りる。
テレビもつけず、音楽もかけず、しんと静かな部屋で寝ころがり、借りてきたばかりの本を読む。半分ほど読んだところで、台所にある真っ黒に熟したバナナを思い出し、カップケーキを焼く。バナナをつぶしてレモン汁をかけ、クリスマスプレザーブも少し加える。このクリスマスプレザーブ、焼き菓子に加えると驚くほどおいしくなる優れもの。お酒や果実のいい香りがする。クリスマスプレザーブはその名のとおりクリスマス期間にしか発売されないので、1年分見越して今のうちに買っておかなければならない。Ku:nelにも載っていたからか、売り切れの店もあって昨年よりも探すのに一苦労。運よくピーコックで見つけたのでごっそり買っておいた。
焼きあがるまでオーブンの前で島本理生『生まれる森』の続きを読んで待つ。香ばしいいい匂い。そろそろだ。
-----------------------キ---リ---ト---リ---セ---ン-------------------------------
角田光代・関連記事
作家の読書道
アサヒ・コム 作家に聞こう
|