蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2004年10月21日(木) ただいまのおうち

仕事休み。早朝こそ風が強かったものの、小雨もすぐにやみ、どうやら台風は通り過ぎたようだ。手早く家事を済ませ、おみやげに焼いたバナナマフィンを持って、実家へ。

新宿から40分ほど電車に乗る。ついこの前まで毎日のように見ていたはずの景色を眺める。どうもよそよそしく感じる。駅からはさらにバスに乗る。バスの運転手さんは聞き覚えのある声と、独特のせりふまわしで、ああ、あの人だ、とわかる。運転手さんのありがとうございますは「ア、リガトウゴザイマ」に聞こえる。

母もマロもいつもどおり元気だった。庭にはベンジャミンも来ていて、台風一過の日ざしを浴びて昼寝をしていた。お昼ごはんに母の作った焼きそばを食べ、お茶の時間には紅茶を入れてバナナマフィンを食べた。

3時過ぎ、マロの散歩にでかける。マロはウキウキとした足取りでいつになく軽快に歩く。それからいったん家へ戻り、4時半のバスに乗るために帰り支度をする。これがちょっとした騒動で、クローゼットからタートルネックのセーターを2枚引っ張り出し、本棚からCDを数枚と、母が昔から愛読していたお菓子作りの本など数冊を抜き出し、小さな電気ストーブ(結婚する前、自分の部屋で使っていたもので、今度は台所で使おうと思っている)を大きめの紙袋につめる。台所の流しの下からはボウルをひとつ失敬、冷蔵庫からは下ゆでした里芋をもらう。

母によれば、そのお菓子作りの本はかなり本格的なものなので、砂糖とバターの量が多いから少し減らすこと、それに作り方どおりに作るとひどく手間がかかるので、省略できると思ったところは省略してもいいということだ。この本に載っている象の形のバースデーケーキを作ってもらったことをぼんやりと覚えている。たしか2歳か3歳のときだ。食べてしまうにはあまりにもったいないかわいらしい象の形をした、それは大きなケーキだった。

じゃあ、そろそろ帰るね。玄関で靴を履く。そういえば、今日ここに来たとき「ただいま」って言ったよね。向こうについても私また「ただいま」って言うよ、たぶん。ふと気がついてそう言うと、玄関で見送る母は「ただいまのおうちがいっぱいあっていいじゃない」と言った。まったくそのとおりだ。背中に荷物を詰め込んだ大きなリュック背負い、右手に電気ストーブの入った紙袋を持って、玄関のドアを開ける。今出れば6時前には家に着く。相方はまだ帰っていないだろうから、誰もいない部屋に向かって私はただいまと言うだろう。家にたどり着いたときのホッとした気持ちで。


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