蜜白玉のひとりごと
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地下鉄の階段を上り、4丁目の交差点に出る。振り返って和光の時計を見上げ、資生堂ビルに向かう。ひさしぶりの銀座は雨だ。強く降っているから傘をさしていても服が濡れてしまう。7時から資生堂WORDで江國さんと角田さんの講演会、そのあとにはミニオフ会も待っている。浮き立つ気持ちを落ち着けようと深く息をする。ドキドキはおさまらない。
資生堂ビルの入り口で、ROCOさんと会う。ROCOさんがしきりに目配せをしている。え?なに?・・・気がつくのに時間がかかったけれど、私のすぐ横で江國さんがエレベーターを待っていたのだ。思っていたよりもずっと小柄で、背中までとどく長い髪はゆるくパーマがかかっている。茶色のジャケットと鞄、オフホワイトのパンツ。同じエレベーターに乗った江國さんは携帯電話でメールをしていて、会場のひとつ下の階で関係者の方とともに降りた。エレベーターに乗っている時間がとても長く感じた。
会場では端っこの後ろのほうに座る。遠くから眺めるくらいでちょうどいい。ここなら視線を気にせずにメモをとることができる。あまがえるさんとはお互いに目印を決めていたので、開演前に無事会えた。
江國さんと角田さん、おふたりのお話は文句なしに楽しかった。あっという間の2時間で、盛りだくさんな内容はメモをとるのも忙しかった。ほとんど前を向いたままとったメモは、字が大きいせいで10数ページにのぼり、ところどころ解読不能だった。講演の内容は講演録を見ていただきたい。
講演後、ふわふわさん、あまがえるさん、ROCOさんと一緒に近くの喫茶店へ移動する。大きな柱時計のそばのテーブルにつき、めいめい好きなものを注文する。私はカプチーノ。
ホームページでは2年以上の長いお付き合いでも、面と向かって会うのは初めてだったり、ほんの数回だったりで、それなのにこうもしっくりきてしまう関係というのはいったい何なのだろうと、頭の片隅で不思議に思いながら、とても楽しく過ごした。それぞれの簡単な自己紹介、さっきの講演の感想、それにつづくさまざまなエピソード、話は尽きない。講演会直後の興奮も手伝って、夢とも現実ともつかない気持ちのせいで、まるで平衡感覚を失ったようにくらくらする。ときどき横の柱時計で時間を確認する。刻々と過ぎる時間が恨めしい。
電車のあるうちに帰らなければ。11時半を回ったところで喫茶店をあとにする。今日はありがとう、また会いましょう。再会を約束してそれぞれの場所へ帰る。
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実はこれを書いたのはあれから10日以上たってからだ。あの日は関東地方に「非常に強い台風」が迫っていて、強い雨と風が吹いていた(確かにそれはとても強い台風で、翌日には上陸し、地下鉄に水が流れ込んだり、電車が止まったり、ひどいありさまだった。近所の川は増水警報が鳴った)。
今日も似たような天気で、これから台風が来る。雨は昨日の夜から降り続いて、明日の朝までの降水量は300ミリ近くになるという。低くたれこめた空の下、あの日のそわそわした感じを思い出す。
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