蜜白玉のひとりごと
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| 2004年05月09日(日) |
読書ごっこ/『スイートリトルライズ』 |
この家に住んでからなかなかゆっくりと本が読めない。それは別にこの家のせいではなくて、私の生活があわただしいからなのだけれど、そのあわただしさも単に、私の要領が悪いからなのだと思う。
なにしろ家事に時間がかかりすぎる。もっとちゃちゃっとできたらいいのに。これは手を抜きたいというのとは違う。もともと家事は好きなほうだし、家の中が整っているのは気持ちがいい。
家事の中でも特に洗濯物をたたむのが好きだ。洗いあがった洗濯物の清潔なにおい。それらをびしっとたたむ。アイロンがけもわりと好きだ。逆に嫌いなのは掃除機をかけること。掃除機の出すあのうるさい音が苦手だ。それと気をつけて引っ張るのに、本体がごつんごつんとあちこちにぶつかってしまうのにも腹が立つ。掃除機を出したりしまったりもいちいち面倒くさい。
相方はそんな風にして私があまり本を読んでいないことを気にしてか、連休中に何度か本を読む時間を作ってくれた。私がテーブルで本を読んでいるのを見ると、そっとしておいてくれる。つけっぱなしになっていたテレビを消して、隣の部屋で静かにしている。もしくは私の向かいに座って自分も本を読みはじめる。読書ごっこ。
そうして私がこの家に来てはじめて読んだ本が、江國香織『スイートリトルライズ』だ。「復刊ドットコム」でも取り上げられ、私も1票投じた思い入れのある本なのだ。100票にとどく前に単行本化されたので、うれしいやら拍子抜けするやら。
江國さんの本は必ず買うことにしている。買って読む。そして本棚のいちばん手に取りやすいところに並べる。江國さんの物語はこれまでもたくさん読んできたから、実はちょっと飽きてきている(こんなことを書いたら心底江國さんのファンの人はがっかりするだろうか。もしくは怒るだろうか)。それでもなお買って読もうとするのは、江國さんの本は私の課題図書のようなものだから。
読書にのめりこんだ大学生時代にいちばんたくさん読んだのが江國さんの本で、以来、江國さんの作り出す物語は私が持つものさしのひとつになっている。
今回は読みながら、ふーん、と思った。つめたく突き放した感じに。なんかふたりとも安易だな、と。ただ、国際電話をかけるところは気に入った。『冷静と情熱のあいだ』のアオイとダニエラを思い出した。
相方を前に、私は涼しい顔をして夫婦ともに浮気をするこの物語を読んでいたのだ。ふたりの人間が寄り添って一緒に暮らしているという、この不思議な事態に自らの身を置きながら。
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