蜜白玉のひとりごと
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休日。お昼前に図書館へ行く。街へ出ると晴れ着姿の女の子とその母親が連れ立って歩いているのを見かける。そういえば、今日は成人式だった。
4冊返して4冊借りる。小川洋子さんの本2冊と数学の本2冊。『博士の愛した数式』を読んでからというもの、急に数学に目覚めた。と言っても、数学の問題をちまちま解いているわけではない。数学を勉強しなくてよくなってからもう何年も経っているし、もともと数学は苦手なので、今さら問題を解く頭は私にはない。
正確には、多くの人間を虜にした数学の“魅力”に興味を持ったのだ。魅力というより“魔力”と呼ぶべきかもしれない。数学の何がそんなにしてまで人を惹きつけるのか。解ける保証もない問題に全人生をかけて挑む「数学者」という種類の人間がとても気になる。
探している本はいつも見るエッセイや読み物の棚にはなさそうだったので、階段を上がって数学のコーナーへ行く。何度も訪れた図書館だけれど、ここは今まで一度も足を踏み入れたことのない場所だ。数学の棚の前には誰もいなかった。斜め後ろの植物学の所に青年が一人いるだけだ。数学のとなりは物理学だ。ふと、数学の棚に向かう自分の姿を思うと、なんだか頭が良くなったような、誇らしい気がしてきた。このわくわくした感じ。未知の世界に首を突っ込むとき特有の、純度の高い知的好奇心が沸き上がって来るのを感じる。めったにない高揚感だ。
目当ての本は2冊とも見つかり意気揚々と家へ帰る。『博士の愛した数式』にも登場した「フェルマーの最終定理」について、まるっきり文系の頭で読んでみようと思う。
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