蜜白玉のひとりごと
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落とし物を拾う。事務所の隣の部屋で。
詩を拾った。「落とし物の詩」というのもめずらしいけれど、拾ったのだ。拾ったのは5編で、A4の紙を横において縦書きで1枚の紙に1編ずつ印字されている。全て同じMという人の作品だ。Mは名字なので男か女かは分からない。Mというその名字の人を私は知らない。
勝手に拾ってしまってはまずかっただろうか。でもすでにみんな帰った後で、そこには誰もいなかったし、紙は捨てられたように裏返しにばらばらになって机に置かれていたのだ。それにもう私は持ってきてしまったのだから仕方ない。
それら5編の詩はわり好きな感じの詩で、読みながらいいものを拾った気持ちになった。Mという人は「色」という言葉が好きなようで、瞳の色や海の色についての詩がそれぞれ1編、距離を色に置き換えて書いている詩が1編あった。
詩はやっぱりいい。詩の何が好きかと言えば、その形式、余白の多いその佇まいが好きなのだ。紙の上にポツポツと置かれた文字を美しいと思った。
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